バルバッド編



走り抜ける道中ナマエは笑いが止まらなかった。


「やった!ついにやったよナマエ!!諦めずにいてよかった。人間諦めていなければいつかはチャンスが巡ってくるって思っていて良かった!!きっと日頃の行いがいいからに違いない!あの万年クソ金欠天パと違ってちゃんと働いていて良かった!休みの日に源外のじじいにしてやられたことは許せないが、最後には私には素晴らしい未来しかないのさ!!」


油断したあいつらが悪いのさ!私は姉御なんてなるつもりもないしね。まぁ、私の歌舞伎町での出来事だったら妙の道場へと連れ込み、妙に任せることも出来たが、ここでは必要ないしね。プププと笑いながらも爆走している足は一切泊まることはせずにバルバットの街中をいつしか突っ走っていた。


一方、いつしかナマエがいつの間にかいない事に気が付いたのは、聴覚や嗅覚など色々すぐれているマスルールではなく、暗殺を行っていてその辺には敏感肌なジャーファルでもなく、元盗賊達だった。


「おいお前等!姉御がいないぞ!!」
「なんだと!!」
「あれ!?姉御ぉぉぉ!!」
「どうして……はっ!!もしかして、休憩している俺たちに気を使って声を掛けずに先へと向かったんじゃないか?」
「そうだ!それしかない。行き先は聞いているから、俺たちは追いかけられると信じて下さった上での行動だったんだ」
「こうしちゃいられない。俺らも姉御に続くぞ!!」
「「「オォォォォ!!!」」」


シンドバッド達が一切口を挟む隙も与えずに、自分たちの都合のいい内容へと変わり、締めくくられた結末に、一気に走り去っていたその元盗賊達を見てただ一言マスルールの言った凄いッスねという言葉に頷くことしか出来なかったシンドバッドとジャーファルであった。


「シンいつまで落ち込んでいるつもりですか?彼らも行ってしまいましたし、私達もアリババ君の所へと戻りましょう」
「あ、あぁ。そうだな。行き先は分かっているし」
「ほら、背筋を伸ばして下さい。それでも王ですか?書類しますか?」
「今は書類は関係ないだろう?」
「いつでもできます。さて、マスルールも行きますよ」
「ッス」


数秒後彼らもアリババの元へと向かった。

いわずとも彼女がアリババや自分たちにとって外のあるものかどうかと言う真相は、このやり取りで、ある意味害であるかもしれないという結果がでるのは仕方がないことだと思われる。


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