バルバッド編



今までシンドバッドの傍にいた女性達とナマエはえらい違いに、どう対応していけばいいのか懸念しているとナマエが声を掛けてきて、慌てて意識を浮上させた。


「ところで、えっと、キンさんは、アリババを何で知っているの?」
「俺の名前はシンだが、聞こえていなかったのかな?そうだねアリババ君とはつい先程出会ってね。思う事もあり、共に行動することにしたのさ」
「すみませんギンさん。一夜限りの関係でも築くんですか?」
「シンだ。なんだか変な方向に捉えているようだが、今一緒にいるだけださ」
「そーですか、同棲を始めたんですねリンさん」
「…名前以上に訂正すべきものがミイの頭の中に存在しているみたいだな」
「頭の中は脳みそしかありませんよ?」
「う、うーん。そういった意味ではないのだが。……ふむ、なかなか困ったな」
「あぁ、困りごとですか?初対面なので一緒に考えて解決してあげるなんて優しさはまだないので、控えている後ろの二人と共に解決してください。あ、なんでしたらこいつ等差し出しましょうか?かの有名な誰かさんが言っていましたよ。十人十色とか塵も積もれば山となるなどね。一人ぐらいはチンさんの悩みの解決への糸口を見つけるんじゃないですか?たぶん」


どうぞどうぞと盗賊達へと導こうとしているナマエを口元が引き攣りながらだが、やんわりと手で制して、せっかくの好意だが遠慮しておこうと拒否した。


「え、そーですか?せっかく厄介払いが出来ると思ったのだけど、人生なかなかうまくいかないものですね」
「全くだ。まさか人生論へと話がそれるとは思ってもみなかった」
「ん?人生設計から逸れたんですか?それは大変ですね。でも気が付けて良かったですね。今なら引き返せますこともやり直すことも出来ますね。気づけないままだと何も出来ないままですもんね」
「そうだな。もうムリな気がしてきたよ」
「いやいや大丈夫ですよ。かの偉人へとランクインするかもしれない人もあきらめたらそこで終了ですよとの名言を残しています。もう少し頑張って下さいね」
「いや、もう今回は大丈夫だ」
「あれ?気づかぬ間に解決ですか?私の賜物ですかね?」
「………そうだな」


ほんの数分で一気に老いたオーラを纏いながら控えている二人に視線を向けるシンドバッドにマスルールは決して目を合わさず空を見続け、ジャーファルはそっと地面を見つめていた。

ナマエは何故だがもう燃えつきたぜジョー状態のシンドバッドと我関与せずの二人といつしか勝手に休憩タイムに入って水を飲んでいる元盗賊達を見て、あれ?今ならコッソリ元盗賊達を置いてアリババとカシムの元へと行けるんじゃね?と思ったナマエは口元を手で押さえて笑みを浮かべると、そっと横の木々の陰に隠れながら一人バルバットのスラム街へと爆走した。


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