バルバッド編



二人の思考に温度差はあるが、今は知る由もないことから、シンドバッドはさてと言葉を続けた。


「どうしてミイは盗賊達に追われていたのか、それと、何だか慕われているようにも見えたのだがどうしてかい?」
「私が知りたい」
「そ、そうか」


和やかに今までの女性ならばつい口を自然に割っているだろうその微笑と声色で聞いたシンドバッドだったが、その質問の内容にナマエは間髪入れずに鬼気迫るように目力も加えて聞き返す姿にたじろいで、一言しか返すことが出来なかった。
このまま話を続けることも出来ないだろうと考えて、もう一つ気になっている事を聞くことにした。


「ところで、アリババ君とカシムを知っているのかい?」
「ん?アリババとカシム?」
「あぁ」
「知っているどころか、私は彼らに会いに来たんだ」
「知り合いだったのか」
「なんだ、金持ちも二人と知り合いなのか?いやぁ、世間は狭いもんだね」


でも世界は広いけどねぇと、ウンウンと頷くナマエにジャーファルと目配せをしたシンドバッドは言葉を続けた。


「まさにミイの言うとおり世間は狭いようだな。ところで、どういった経路で?」
「えっと、アレだね。昔に、ちょっとアレなんて言ったっけなぁ……まぁ、何だかんだで出会ってさ。またここに来るなんて思ってなかったけど、知り合い少ないし?またお世話してもじゃなくて、してやろうかと思ってね」
「なんだか分からない部分が多かったようだが、昔とは?」
「昔だろ?」
「いつぐらいなのかな?」
「なんだよ面倒くさいな……えっと、どのくらい?うーん……ふっ。私、過去は過去として一括してるんでね。どのくらいなんて忘れちまったさ。でも、まぁ、こうして思い返すとつい最近のようにも思えるって感じくらい前かな?」
「……そうか」
「(シン、やる気がなくなっています)」


なんだか遠い目をしているシンドバッドを肘で突くジャーファルだが、今のやり取りに目を輝かしているのは空気となりかけている元盗賊達。
さすが姉御カッコいいッスなどと言っていたが、感極まってナマエに詰め寄ると、しつこいしと蹴りを入れられていた。


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