バルバッド編



バルバットへと向かって爆走中のナマエ。


「くっそぉぉ。ゆっくり、のんびりアリババとカシムの所にいくつもりが何故にこんな事にぃぃぃぃ!!」


文句を言いながらチラッと後ろを見ると、今姉御と目があったぞと言いながら盛り上がる盗賊の群(走り続けて数時間に及ぶが未だに脱落者ゼロ)に、目なんか合ってないし、なんだあのポジティブシンキングはと自分の中の何かのボルテージが上がって行くのを感じていた。


「何が悲しくてあんな奴らと一緒に居なきゃならないのか……厄年か?いやいやまだ三十にも数年あるからまだまだのはず。ん?海の匂いがしてくるってことは、ヒャッホーーイもうすぐバルバットってことだな!アリババァァァ、カシムゥゥゥ、今会いに行きます!!」


最後はキリッとして決めたセリフにナマエは今までよりもグンとスピードを上げたナマエに元盗賊達は姉御との旅の初めての街だ。姉御に迷惑かける行為はしねぇようにすんぞ!という声が聞こえ、無視するつもりがつい今のその行為が迷惑だってさっきから言ってるだろうがバカ共とツッコミを入れ非難するが、その言葉に隠された本当の意味を俺たちは分かっていますからと言われたナマエはさらに何かのボルテージが上がった。


「お前ら超五月蠅いし!何そのポジティブシンキング!!本当やめてくんない!?私Sじゃないしノーマルだから、お前らの喜ぶことなんかどこぞのバズーカ野郎のように出来ないから!!だから、ついてくるなぁぁぁぁ!!」


いつしか砂漠地帯から緑が多くなりオアシスのような景色へと入った瞬間ナマエの視界に何かが急に映り込み、咄嗟に避けるつもりが、元盗賊へ意識が向いていたせいで一瞬交わすことが出来なかったせいもあり、ナマエの体は何かに抱き上げられた。


「うおっ!!」
「マスルール、女性にはもう少し丁寧に」
「ッス」


咄嗟にぶん殴ろうとして拳を握っていたナマエは、スンマセンと言われたことにより思い留まった。
そして、ナマエを追いかけて走っていた元盗賊はナマエを抱き上げている光景を目のあたりにして一時停止した。
そして、一番の出所であろう場所で声を上げたのはシンドバッドだった。


「女性を追いかけまわすなんて男のすることじゃない。盗賊が、彼女に何の用だ」
「い、いきなり出てきて姉御になれるな!!」
「「そうだそうだ!!」」


体格のいいマスルールを従い、仁王立ちで威圧感を放つシンドバッドに多少押され気味になりながらも、自分たちの主張は突き通し発する姿にナマエは頭を掻きむしりたい気持ちでいっぱいだった。


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