バルバッド編



「アリババの頭!!大変だ!!」


昼間の騒がしさが無くなりかけた夜。
霧の団の幹部ではない一人がリーダーであるアリババの元へと慌てて駆け込んできた。
そんな姿を見て、何かあったのかと不安に駆られながらも、彼からの言葉をアリババは待っていた。


「頭!」
「どうした」
「大変なんです。と、と盗賊が、盗賊達が群を成してバルバット国にまもなく入ると、スラム街の方向へと向かってきているとの報告が!」
「なんだと!本当か!」
「確かに見たと聞きました」
「くそっ。こんな時に……」
「あの、頭」
「何だ?」
「その、一緒にその盗賊の群なのですが、どうやらアリババとカシムを探しているみたいで……」
「は?俺やカシムを?」
「はい。そう叫んでいたという事を聞きやした」


確かに最近の霧の団の動きから国外に俺の名前が広まっているかもしれないが、カシムの名前は出してはいない……と思う。
何が起きているかが分からない事から不安になるアリババだが、ここで放っておけとも言えず、少し様子を見てくるから待機を命じて、こちらに向かっている盗賊達の元へと行こうとするアリババをどこから話を聞いていたのか、アリババも前に立ちふさがったシンドバッドが引き留めた。


「待ちなさいアリババ君」
「っ。シンドバッドさん」
「今ここで君に何かあっては困る」
「ですが」
「大丈夫。私が行こう」
「でも!俺の名前を呼んでいると聞いたんです」
「大丈夫さ。君の名前を呼ぶ真相も探ってこよう。任せてくれ」


肩に手を置かれて、真っ直ぐ見つめられながら言われれば頷くことしかできず、アリババはお願いしますと言葉にしたが、心の中では俺には何ができるのだろうとマイナス思考が占領していた。


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