幼少期編


ナマエは肩を落としながらトボトボと見馴れない景色の街を歩いていた。

右を見ては自分と違う服装と建家に、左を見ては自分と違う服装と建家に、下を見れば必要以上に砂の量に、上を見上げればただ広がる青空に溜め息が出てくる。


「(ってかさぁ、ここ何処だよ。源外のじじいはゲームとか言っていたよな?うん、確かに言ってた。ゲームならさぁ、説明書寄越せよぉ。格ゲーなのかRPGなのか育成なのかジャンルわからないゲームとかありえねぇし。初期ステータスゼロからクリアなんて出来るわけねぇし。世界観もわかんないのに、ゲームクリアなんか出来たらゲームマスターへと進むからね。せめてヒント寄越せよぉぉ)」


ブツブツと言いながら、とりあえず歩くだけ歩いているが、簡単に言えばナマエは途方に暮れていた。


さりげなく時には大胆に鳴り出した自分のお腹の音に空腹感はうなぎ登り。
やべぇ、マジやべぇ。ゲームなのにしっかりお腹空くとかムカつくんですけどぉ。

いらっしゃいませとか言う声からして店なんだろうなぁ。って、んん?あれはスイカか?なんか形が真ん丸じゃないんですけど、スイカですか?あ、スイカでしたか。へぇ、そうですか。……未知って怖い。
ん?こっちはリンゴか。いや、違うかも知れない。だってスイカ形が変だったし、これはリンゴの形をした違うもので……え、あ、リンゴでしたか。あ〜、そうでしたか。……基準って何だろう。

まぁ、そんなこと今はどうでもいい。
金がないって悲しいが、数秒後には怒りへと変わっていた。


「(くそジジイが!ほんの少しの思い遣りとかあってもいいだろうがボケェェ!!)」


ナマエは原因の源外を思い浮かべ怒りはするが、すぐに空腹が頭を支配する。


「やべぇ。マジやべぇよ。なんかお腹が空きすぎて、このままじゃ大変な事になっちゃいそうだしぃ!そりゃ、トイレに行きたくてトイレが見つからない時の緊急事態よりかはマシかもしれないけれど、いざとなればどうにか出来るが、空腹だけは何か食べなきゃやってらんないし、やっぱりあの時鉄板なんか打ってないで、三郎におにぎり握ってもらって寝そべりながら食べてたら良かった」


涙が全く出てこないが何だか頑張れば出そうになる気がする目頭を押さえながら、当てもなくフラフラ歩いていると先程までの市場っぽい街並みから少しだけ廃れた雰囲気へと変わっていた。


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