幼少期編


続きを催促してくるアリババに、手も出してくるカシムの頭に一発おみまいしてから、それからと続きを話し出した。


「確かけっこうでっかい家に案内されてさ、これはお礼だと言ってくれたんだよね。えー何か悪いですよと言ったのだけれどね、遠慮なんてしなくていいと言われたから、まぁ貰えるものま貰っとく精神に従っていただいたのさ。でも、こんな値が付くとは思わなかったけどねぇ」


えへへと笑うナマエに二人は唖然として、開いた口が塞がらなかった。
これ現実?などと言う会話がナマエの後ろでされていたことは知らない。

何だか釈然としない二人にナマエは忘れてたやいっけねと言いながら振り返ると、売って手元にある金貨を一握り懐に仕舞うと、残った金貨が入っている袋を二人に渡すと、それ二人の分だから喧嘩しないように分け合いなよと言ったナマエにえ?と意味がわからずに受け取ってしまったが、すぐにハッとして慌てだした。


「まま待ってよナマエさん!」
「え、どこで?暑いから影の下で待てばいい?」
「そうじゃねぇよ!こんな大金受け取れるかよ!」

袋を突き返す二人に、罰ゲームはその恰好であって手伝ったからにはそれなりの分け前は当たり前でしょ?と当然のように言い切ったナマエに、ナマエさんありがとうと呟くように言うアリババに、カシムも不満そうな雰囲気を出していたがサンキューと呟いてナマエの後ろを歩いていた。

彼女の懐の中にはこの世界にはない携帯電話があり、撮影モードで二人の女装姿がバッチリ撮られて、いつか黒歴史として彼らの弱みになると内心思っていることなどは知る由もない。


「それに、私はあと数日でここから帰るし、たくさん持っていても無駄だもんね」


空を見上げながら小さく呟いたナマエの言葉は二人には届かず、何か言ったと聞いてくる二人に、あーアレだね。まぁよくよく考えれば私って寛大だよね。こんな素敵な人なかなかいないからちゃんと頭の中でナマエさんは素敵な女性ですと叩き込んでおきなよと言うと、二人の頭に手を乗せてポンポンと叩くと歩いていくナマエの後姿を見つめていた二人は、なんかいつものナマエさんじゃないねと呟いたアリババの言葉に、そうだなとカシムは呟いた。

本当は何を言ったのか聞きたかったが、きっとはぐらかされてしまうと感じた二人は不満があるもののこれ以上聞くことはなく、フンフン鼻歌を歌っているナマエの後ろを歩いていた。


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