幼少期編


あれから時間は経ち、アリババとカシムは売り子から解放され、早く帰って女装を解きたいと思っていたが、それよりも気になることが出来てしまった。

二人の前を上機嫌で鼻歌をフンフン歌いながら軽やかな足取りで歩いていくナマエについてだ。

上機嫌なのはきっと高価で色々売ることが出来、ナマエの懐が潤いに溢れているかもしれない。
が、問題はナマエが売ったものだった。
確かにナマエがコレ等を売るぞと持ってきたものは見た目から普段二人は見たことがないくらい高価なものだとは一目瞭然で、唖然としたのは仕方がない事だろう。
数日前までは他人の懐を探り金品を我が物としていたことから、ナマエに手持ちがないことはなんとなくそうだろうと思っていた。
そんなナマエが突然物品を持ってきたことが信じられないのだ。

二人は目を合わせ頷き合うとナマエへと駆け寄り訪ねることにした。


「なぁナマエ」
「どうしたよカシアちゃん」
「カシアちゃんって言うな!」
「キャー。こーわーいー。そんなに怒ったらせっかくのかわいい顔が台無しになっちゃうゾ」


そのセリフが言い終わると同時にナマエは人差し指をカシムのおでこにツンと突けば、般若のごとくなりつつあるカシムをアリババは必死に抑えながらこのままでは肝心の話が出来ないと思って口をひらいた。


「ね、ねぇナマエさん!今日売ったのってどこから持ってきたの?ナマエさん最初手ぶらだったのにどこかにいくとたくさん売るものを持ってきてたから気になっちゃって」


と言うアリババの言葉にナマエは、あぁアレはねーと思い出す様に空を見つめながらもらったのと言った。
貰ったって、あんな高いものをと驚きを隠せないアリババに、おとなしくなったカシムもナマエの言葉に耳を傾けていた。


「昨日の夜さあんまり寝付けなくてね。え、違うよ。夕方まで結局自分との戦いで寝たまま過ごしたから寝付けなかった訳じゃなくて、なんか妙に目が覚めちゃっているだけだからそんな目で見ないで。昨日は昨日でしょ。えーっと、ほら、でね、頑張って眠ろうとしたけどそう時に限って眠れないものでしょ?だから、少しだけ散歩でもしてこようとおもってフラフラしていたら一人の爺さんをハゲた連中が襲っているのを見てさ、運動したらスッキリ眠れるかなぁって思って、思いのままに相手をしたら、もう、めちゃくちゃ感謝されちゃったのさ」


いやぁ、君たちも私みたいに人に感謝されるように生きなよとドヤ顔で言うナマエに、良いから続き話せよとツッコみを入れるカシムとアリババに、何かツッコミ力が足りないんだよな。あのメガネからツッコミ見習えばいいのにと思ったナマエだった。


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