幼少期編


今もなおギャイギャイ言うカシムを適当におだてたりしたが、当然彼の怒りのボルテージは下がるはずもなく上がる一方。
二人の盛り上がりにアリババは入って行けずに置いてけぼりを食らっていた。

仕方がなしに、自分の今の状況を改めて見つめると何でこうなったのだろうと小さく呟くと、そのアリババの言葉をしっかりと拾い上げたナマエがきっぱりとお前たちが負けたからだよ負け犬どもがと言い切った。
そのナマエの言葉にぐっと言葉をつまらせるアリババとカシムをフンと鼻で笑ってから足を進めながら言った。


「ったく、いつまでも五月蠅いし。だいたい物を売るには昔から女がいいって言うだろうが。コレが商売をするにあたっての暗黙の了解ってやつさ。それに恥じらいなんて持っていても人生楽しくないんだからな。もてる恥じらいはトイレをする姿を見られるのはちょっとという羞恥心だけ取っといたら十分だよ」
「「十分なわけあるかぁ!」」


可愛らしく売り子の姿をさせられた二人はもうコイツいろいろダメだと自分たちとは考えがずれていると思い諦めたのは、自分たちのツッコミに真面目に何故と聞いてきた瞬間に悟ったからだ。


「でも、やっぱりヤダよ恥ずかしい」


それでも男だからか自分の姿に抵抗があるみたいで、下を向きながら服の裾を持って呟くアリババを見たナマエは立ち止まると、顎に握った手を当てて何かを考える仕草をすると、もう片方の手でポンとアリババの肩は低かったからか、頭に手を乗せた。


「……ふむ。よしアリババはそのまま、恥らえばいい」
「え、さっき恥らう心を捨てろってナマエさんが言っていたのに」
「そこは臨機応変に行くものさアリババ君。そう、お前にはお前のやり方がある。それは、今のように恥らって男どもの庇護欲をどんどん掻き立てれば立派な客寄せパンダにでもなれる」
「えぇ!何それ!!」
「最悪じゃねぇか」
「カシムはアレだ。そう、えっと、まぁ自分はこういうものだと。これが俺の人生の一部だと開き直れば何も気にすることなんてないよ」
「どんな開き直り方だよソレ。つーか、開き直れねぇから困っているんじゃないかバカナマエ。なんでビックリした顔をする!そのリアクションにコッチがビックリだ!だいたい何で、俺とアリババの対応が違うんだよ」
「お前に庇護欲なんて感じなさそうだからだ」
「差別だ!差別とか大人として最低だ!」
「人なんて最低の種族さ、不平等の中でどれだけ自分が上に立つかを頑張るんだよ!ほら、カシム今お前が頑張ればその道でトップになれるかもしれないよ?」
「なりたくねぇよ!」


ナマエは、あれぇ?おかしいな。今すごい良いフォローが出来たと思ったのに何で怒るのだろうと心の中で思いながら思いつく限りどんどん言葉を口にするが、どうあがいてもヒートアップする一方だった。

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