幼少期編


結局ナマエの挑発に乗ってしまったカシムはどうにでもなれと言い放つこととなった。


「ナマエが勝てば何でもいう事聞いてやる」
「よーし、言ったな。絶対だからな。今更取り消しとかなしだから。絶対に何でもいう事聞いてもらうからな」
「うるせー!!こっちが勝てばいいだけの話だろ」
「ふふーん。そんな簡単な相手じゃないことを身を持って教えてやらぁ」


最高に楽しいですと感じさせる笑いをしながら何してもらおうかなぁ。どうしようかなぁ、やる気出てきちゃったなぁ。カシムって何がキライかなと言いながらアリババの頭をグリグリ撫でるナマエの姿と言葉で何でもと言った自分の言葉が間違いだったと気が付いたカシムはリンゴ一個にしておけばよかったかもと思うのだった。


そして結果は言わずも……。


「きゃっほぉぉぉい!」
「負けちゃった。トンネルの上に立たれると道が塞がっちゃって結局旗取れなかったし、くやしい!」
「ちくしょー!大人げないぞナマエ!!」
「えぇ〜何々?手加減されたかったの?だったら途中で言えばいいのに。何も言わずに何度ももう一度というのが悪いのさ。別に手加減してあげても良かったのに。手加減してもきっと勝てちゃうから私。ガキンチョ達じゃまだまだ私には勝てないしー」


旗をプラプラ振ってカシムとアリババをおちょくっている。
午前から遊び始めいつのまにか昼過ぎへとなっているのか、他にいた子供たちは家に帰って行った。


「もう一回だ!もう勝てればどうでもいい!手加減しろよ!」
「ナマエさんに勝ちたい!」
「やだし。もう結構な時間遊んだし、十分だし。時間も時間だから、遊びは終了」
「「えぇぇぇ」」
「よって、今から罰ゲームを実行しまーす」
「「……え」」
「何してもらおうかな」


二人の襟首を握ると逃げられないようにしてから、大丈夫大丈夫一生のトラウマになんかなるような罰ゲームはしないからさぁ。ちょっとばかし気持ちを切り替えれば大丈夫だからと歯を見せてにーっと笑うナマエにナマエの手を振り切って逃げだしたいと思ったのは誰にも存在する防衛本能が働いたからだと思う。


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