幼少期編


「で、何がしたいのさ」


あくびをしながら問いかけると、ただ最近働いてばかりで遊んでいなかったなと思ったのが発端で、それじゃ遊ぶかと言えばスラム街にいる何人かで今日は盛大に遊ぶことになったと説明されてナマエは口には出さなかったが、なんだその働きすぎた家庭を持って子供にせがまれたおっさんのような言い訳はと思っていた。


「へいへい。いーよいーよ。別に遊ばないといけないんでしょ?遊びますよーだ」


あ、でもと言葉を途切れたが、ナマエは軽く手首足首を回して準備運動をし始めると、言葉を続けた。


「たとえ小さい子供だろうが何だろうが、手を抜く気なんてないから」
「「………」」


が、その言葉は大人げなく、アリババとカシムは歪まないなと思い、初めてナマエと絡んだ他の子供たちはこの大人って一体と思ったのは仕方がなかった。



「よーし。じゃ、旗取りな」
「ん?旗取り?」
「ここから、あの瓦礫の山の上にある旗を取ったやつの勝ちだ」
「…ビーチフラッグみたいなやつか。OKOK」
「普通に遊ぶのもなんだし、ナマエが負けたらなんかおごれよ」
「ざけんなカシム。頷くなアリババ」
「別にいたーだろ。ナマエ負けねーもんな」
「当たり前だし。どんなことでも勝てばいいんだもんな」


二人にドヤ顔をしてしまったからか、アリババが微妙に引いてい事にナマエは気づかないフリをした。


「(べ、別に悲しくなったからじゃないんだから)で、私が勝ったらどうするのさ」
「え?」
「ん?」
「え?」
「え?て何さ、え?って。こっちだけ失うなんておかしいじゃないか」
「だってナマエは大人だろ」
「なんだとぉ、勝負ごとにおいて大人子供は関係ない。……ははーん。カシム私に勝てる自信がないから自分には何も課せないんだろ。弱いんだカシムは」
「弱くねぇ」
「口ではどうとでも言えるもんねぇ弱虫カシムの弱シム君」
「誰が弱シムだぁ!」
「アリババも手加減しないからな」
「あ、うん(…勝てるかな?)」


ナマエのニマニマ顔にただカシムはイラッとして、目がつりあがっていく姿からそっと目を逸らしたのはなかなか話に入っていけなかいアリババだった。


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