幼少期編


ナマエはそのままアリババ達と一緒にスラム街にお世話になっていた。

なんだかんだと言いつつナマエになついてしまった二人は世間知らずと言う浮世離れした格好のナマエに、普通に接している。
まぁ、カシムに至っては所々バカにしている節が見られる度に、ナマエは制裁を下してもいたが……それはいいだろう(よくないけどね)。

まぁ、色々省くが親睦を深めた2日目の夜にナマエがマジックじゃぁぁぁと叫びながらまるで今から殴り込みにでも行くかの勢いでスラム街を飛び出していった姿を唖然とアリババとカシム(と他のスラム街の住人)は見たが、夜にお手洗いに行きたくなり目が覚めたアリババはふと周りを見渡したが、その日のうちにナマエは帰ってくる気配は一向になかった。

そして次の日の朝になって、やっぱりナマエさん帰ってこなかったんだと心配そうにカシムに言ったのが30分程前の話で、今は二人して物陰に隠れながら、いつの間にか帰ってきているナマエを遠巻きに見つめていた。

昨日、一昨日のノリからいけば、構ってもらったり、ナマエさんの適当な話に花を咲かせていたり、ちょっとした仕事を手伝ってもらおうと思っていたが今にも死にそうな顔で額を壁につけて項垂れては小さな声で「やべぇ、やっちまったよ。マジやっちまったよ。途中までは良かったのにどうしてあそこで止めなかったのかなぁ。いやでも、あそこで止めなかったから奢ってもらえのだから、止めなくて良かったのか?いやいや、懐が下回ることない位寂しいことになっているし、いやでも、うーん。あぁ、とりあえずやべぇわ。人の奢りって怖いわぁ」と呟いている姿を見ては戸惑い、近づきたくないというしか選択肢はない。
声はかけずにとりあえず様子見という答えを瞬時に見つけると、二人は視線を合わせて軽く頷くと、ナマエに近づくことなく物陰に隠れたのだった。


「どうしちゃったのかなナマエさん」


やはり良心がまさるアリババは今のナマエに対して心配をしてカシムに聞いているが、良心を前面には出さずに警戒心がまさるカシムはぜったいに何かがあるとこのたった1日そこらでナマエを常識の枠から完璧に追い出していた。
もちろん間違ってはいない。


「今日は街で観光案内とかの仕事をしようかと思っていたからついて来てもらおうかなって思っていたのになぁ。やっぱスラムの子供だけじゃまだまだ危険な時もあるし、そこに一人でも大人が居れば多少はマシになるもんな」


アリババの言葉になんだかんだと言いつつ生きるためにはちゃっかりしていた。が、続けてカシムはいや、気持ちは分かるけど今のナマエには無理だろとすぐさまツッコミを入れたのは正しい。


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