幼少期編


少し睨まれて少し怯みながらアリババは慌てて口を開いた。


「でででもナマエさん、なくなっちゃダメだよ」
「いーのいーの。一週間で帰るから」
「なんだよ、帰る場所あるんじゃん。ならそこ行けよ」
「いやないよ」
「は?意味わからない」
「まぁ。説明してもお前たちじゃ理解できねぇから説明はしないよ。別に私が説明するのが面倒だからしない訳じゃないから。ほら、子供には分からない言葉がいっぱいな訳だから」
「「(面倒なんだ)」」
「でも、一週間後に帰れるんだよ。それまではどうやっても帰れないの。あーどうしよう。まずは宿か?宿だよな」
「…金は?」
「ほらココに」
「「・・・・・」」


奪った金品を高々と掲げるナマエの姿に何故だかやるない気持ちになる二人だったが、気にせずにどーいけばいい?と聞いてくるからアリババはあっちの角に○○って店があるからその店を右にと説明をするとありがとね。行ってみるわ。んじゃまた会ったら会ったでまたねと言って歩いて行った姿を見送ると二人は笑いながら視線を合わせた。


「ナマエさんってなんだか最後まですごい人だったね」
「すごい人っていうより、すごい適当な人だったな」
「でも、嫌いじゃないよ」
「そうだな。さて、明日もがんばって稼ごうなアリババ」
「うん!」


帰るぞと言ってアリババに手を伸ばそうとすると、何かが走ってくるのが視界の端に映り、見つめていると、なぜか慌てて走りながら戻ってくるナマエの姿があった。

二人がビックリしているのもつかの間、自然な流れで二人の肩に手を回されるように置いて二人に挟まれるような立ち位置になるとナマエはしゃがみこんで項垂れた。
そんなナマエから言葉が聞こえるので二人は何を言っているのかと聞いてみると「やべぇな、マジやべぇ」と呟く声だった。
一向に弱まることのない肩に置かれた手を見てから二人は解放してくれないんだろうとさとったが、どこか楽しそうに感じて口は笑っていた。


「で、何があったの?」
「忘れてたー。すっかり忘れてたよ。会話とかちゃんと出来ているから油断していた。まさかのピンチだよ。まだスライムしか倒してないのに俺超強くね?なんて勘違いしてレベル上げを怠って進んでいたらいきなりボス戦に突入しちゃってるくらいピンチだし」


そんなナマエの言葉に意味が全く分からないと言われたので、真剣な顔つきで文字が読めんと言った。

前へ 次へ


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -