10



場所は変わって、こちらナマエ。


「・・・・・」


もうすぐ家へと帰れるはずのナマエ。
ナマエの視界には、この世界での家が見える。
距離にして、10Mくらいだろう。


「・・・・・・・」


だが、家への途中にはナマエにとっての障害が待っていた。


「・・・無視していいかな」


ナマエの先5Mくらいの場所には、倒れている青年が1人。


「・・・・・関わりたくない。もう、ドラゴンボールへの繋がりは十分ある。これ以上は必要ない。そう。必要なんてないんだ!よし、無視だ。無視。あたしは何も見ていない。そう、何も見えていない」


そう決め込んだナマエは、下を視界に入れないようにと、斜め上を見ながら足を進めた。
だが、そう上手くいかないのがこの世界でもある。


「・・・・・っ」
「・・・・・。聞こえない聞こえない。、何も見えない。」


倒れている人は、ナマエが通り過ぎようとした瞬間に、小さな呻き声らしき声を発した。
ナマエは、ビックリして足を思わず止めたが、気を取り直して深呼吸をした。

そして、声をも無視しようとして、自分に言い聞かせて足を再度進めようとした瞬間。


「・・・ぅっ」
「(まるで、狙っているかのようだ。そして、関われということなのか?いっそ踏んでやろうかな・・・・・)はぁ」


ナマエは、全てを諦めたかのように、倒れている男を背中に担いで、家へと入っていった。


「ただいま」
「おかえりナマエ」
「おう。じじい飯は?」
「知らんぞ」
「・・・今までどうやって生活していた?」
「自由にじゃ」
「・・・・・何かあたしが作るよ」
「それよりナマエ」
「何?」
「背中の人は誰じゃ?コレか?」


そう言って、小指を立たせながら目を生き生きとさせて聞いてくるじいさんを目の前に、ナマエは呆れる事しか出来なかった。


「普通って、親指じゃねーの?」
「どれでも伝わればいいじゃろ」
「そうだな。ってか、こいつ家の前で倒れてた」
「見捨てなかったのか?」
「それがあたしを拾ったじじいのセリフかよ」
「ほれ、ナマエの部屋のベッドに寝かせとき」
「なんであたしの部屋なんだ?じじいの布団でいいじゃん」
「わしの布団いま日干しの真っ最中じゃ。ついでに、ナマエの部屋で起きたときの反応が見たいんじゃ!」
「絶対後者が9割本音だろ。ま、いいよ。寝かしてくる」
「飯はわしが作るから、ナマエは部屋にいるとよいの」
「・・・・・何期待してるんだよ。初対面の男なんか襲わねーし」
「そうか?」
「寂しそうにすんじゃねーよ。じゃーな」


そう言って、自分の部屋へと向かうナマエをじいさんは嬉しそうに見ていた。


「孫が欲しいと思うのが、年寄りなんじゃよ」
「あたしは、じじいの娘として拾われた覚えはないぞ」
「じゃ、ひ孫」
「黙ってじじい自身が天日干しにでもなっとけ!」


じいさんの呟きも逃さずに突っ込みながら今度こそナマエは部屋へと入っていった。
部屋に入ると、ベッドへと寝かせて、簡単に布団を被せてから、ナマエは机へと向かった。

やる事は明日の仕事のため。
つまりは、お金のため。

もといた世界の曲を思い出しては、歌詞とギターのコードを書き綴っていった。


〜〜♪〜〜〜♪〜♪〜〜♪
カリカリ

「結構思い出すのも時間が掛かるな。あと、メロディーを思い出して掻くのが大変だ。でも、なんだか分かるから助かるや。もう一曲やっとくか」

カリカリカリ
〜〜〜♪〜〜♪

「・・・・・っぅ」

カリカリ
〜〜♪〜〜〜♪〜♪〜

「う・・・うた?」
「ん?起きたか」
「えっと・・・・・」
「何」
「その、ここは」
「あたしの部屋」
「え・・・」


ナマエの返答に驚きと戸惑いを含ませた表情を青年がした瞬間にパシャッという効果音とフラッシュがナマエの部屋に入ってきた。


「「・・・・・」」
「おい、じじい。いつからそこにいた?」
「ナマエのベッドに青年を寝かせたとこかの」
「最初っからじゃねーか」
「暇なんじゃ」
「飯作るんじゃなかったのかよ。し か も、デジカメばっちり構えて暇とかいうな」
「・・・トイレが近くて困るの」
「さっさとボケてしまえ」


ドアを閉めて、じいさんが去っていくと、今まで黙っていた青年が声をかけた。



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