自分の身長に22cm足す

「ねぇ、ティムって身長何cmだっけ?」

「え、なんで?」

私は一緒に歩いているティムにそう聞いた。
彼は皆と比べると身長が低くて、私よりちょっと高いくらい。

「んー、なんとなく」

ちょっとネットでみた情報で、自分の身長に22cm足すと抱きつきやすい身長なんだって。

いや、別にティムに抱きつきたいとかそういうのじゃなくてね、うん。

「で、何cmなの」

「う、うーん」

ティムはもごもご……と口を動かすと、覚悟を決めたように……。

「155……cm」

時が止まった。

まあ、勿論それは比喩で、私たちの歩みの音だけがこつこつこだましている。

「メートル法換算間違えてない?」

「な訳ないだろ……僕が小さいんだよ……悪いか!」

あー、やっぱり抱きつきやすい身長にはならなかったかー。

あごに手を当ててティムの方を向くと、下を向いてとぼとぼと歩いていた。

「あー、ご、ごめんてごめん」

ティムの腕を掴むと、それを抱き枕のようにして引き寄せた。

これ絶対付き合ってると思われるー。

「で、なんで僕の身長聞いた訳」

ちょっと拗ねてる。
思わず吹き出しそうになって少し深呼吸してから、口に出した。

「自分の身長に22cm足すと、抱きつきやすい身長になるんだって」

それを聞いてティムはハッとすると、「もしかして僕にハグしたかったの……?」

「いやそんな訳じゃ、ない」

と、思う。
そんなまさか私がティムにぎゅっとされたいとか……。

「ハグしていい?」

ティムがそういうと、私はこくりと頷いた。

ティムはゆっくりと私の背中に手を回し、私の肩に顔を置いた。

私もティムの背中に手を回した。

「ティムあったかい」

「エルヴィも」

ティムの身体は硬くて、男だって事を改めて認識する。

「ティムって意外と」

ぽそりと呟く。

「男らしいんだね」

どきどきとうるさい心臓。

「エルヴィも、えっと、可愛い……」

ティムは私の目をじっと見ると、唇を重ねた。

「ん……」

そして、唇を離すと、赤い顔で、「ぼくが小さくても、一緒に居てくれる?」と言った。

答えは最初から決まっている。

「大好き、ティム」

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