(I wanna)close to you

※報われない








いきなり灯りが消えて、ベットに潜り携帯を弄っていた手が止まる。

停電だ。
そう理解した時に、部屋のカーテンを開けて夜の街を見渡す。

「キッドフラッシュ、また戦ってたりするのかな」

周りも全て灯りが消え、夜景は星と月のステージになった。

携帯をスリープモードにして、星空を見る。

目の前が滲んで、星がぼんやりと燐光する。

嗚咽が洩れてきたので、必死で深呼吸する。

「すー、はー、っ」

それでも涙は止まらなくて。

私の、片想い。

「バカみたい、だよね」

深呼吸をもう1度してみる。

涙を袖で拭って、再び星空を見上げた。

「綺麗じゃないなぁ」

まるで心にぽっかりと穴が空いたみたいに、感情が欠落したみたいに、どの星も輝いて見えなかった。

突然、ドカンと煙が上がった。

私は咄嗟に窓の鍵を開けて身を乗り出した。

「あ……」

あそこで吹っ飛んでいるのは、もしかして。

キッドフラッシュだ、とエルヴィは直感した。

黄色い服に、素早い走り。

止まった涙がまた溢れ出す。

「もう、何なの……」

それでも戦闘に釘付けになる。

弓矢が飛び交う。それだけで、辛くて。

「勝って」

そう呟いてから窓を閉めて鍵をかけた。


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