×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
※解放少女


今日もバンデットとしての出撃があり、神経や気力を削いで行ったウォータイム。
法条くんが私の疲れ具合に笑い「もう帰っていいぞ」と帰宅許可をくれた為、私は学園近くのアパートに帰る事にした。
管理人の朝比奈くんと軽く挨拶を交わし無事に帰宅。
今朝はバタバタしてて布団を畳まずに出て行ったから、布団は敷きっぱなし、更にパジャマも散らかっている。
溜め息と共に布団に横になると、同時にCCMが鳴った。


「……なにこれ」


画面に映るのは、ミニキャラ化したミゼルとプレゼントボックス。
ミニミゼルがプレゼントのリボンを掴み、これを引くようにと私を急かす。
なんだか知らないけど付き合ってやるか。
もう半年以上会えてなくて寂しいし。
電話も、お互い忙しくてなかなか出来なくなっているし。

リボンを指で触り、軽くスライド。
するとプレゼントボックスが開き、中から大量のお菓子とミニキャラ化した友人達が飛び出してきた。


「ああ、そっか。ハロウィンだ」


壁にかかるカレンダーに目を向ける。
ここに来てからもうそんなに時間が経ったのか……私、なんか変われたかな。成長してるかな。

伊丹くんや風陣くんに“バトルの腕が落ちた”なんて言われるし、授業だって……。
私は副担任として法条くんのサポートをしてるけど、いつの間にか私も生徒達と一緒に彼の授業を受けていたりするから……どちらかというと、成長はしてないんだろうなあ。


『名前』


その優しい声に目を見開く。
ミゼルと電話が繋がってるのかなと期待を込めて画面を見るが、まあそんなハズもなく。
ミニミゼルが笑顔のまま、メッセージを読み上げているだけだった。
ガッカリはした、けど。
だけど久し振りに聞いたミゼルの声。例え、読み上げツールの声だとしても満足だ。


『時間がとれなくてごめん。大きなプロジェクトに僕も参加させてもらう事になってね。セキュリティー管理だけじゃなく、各所の会議室や研究室にも移動しなくちゃいけなくなったから、少し疲れて』

「凄いね。大出世だ」

『キミの相手を疎かにしたくてしてる訳じゃないんだ。分かって欲しい』

「わかってるよ。ミゼルが働き者な事、小さい時から知ってる」

『このプログラムはお詫びみたいなものだ。何故ハロウィンイメージなのかと聞かれれば、ただ近いイベントがそれだったから、というだけの話。少しでもキミの疲れを癒せたらと思って仕事の合間に作っていたんだ』


ミニミゼルがお菓子を食べたり、更に魔女帽子や狼の被り物をするのが可愛くて、思わず笑みがこぼれる。
ミゼルからのメッセージに返答した所で、彼に届く訳ではない。
でも言葉を返しちゃうのは、多分寂しいからだ。少しでもミゼルと話す、話した、そんな気分になりたいだけ。


『それと朗報。冬……12月に休みを貰える。一週間程ね』

「え、」

『いつ会いに行ってもいいのか……メールを入れておいて。キミの事だから、クリスマスと重ねてくるんだろうな』


クスクスと笑う声がする。
布団から起き上がり、私はカレンダーを一枚捲った。


『それじゃあ、メール待ってるから』

「絶対する!」

『名前。僕は一日、否、数時間、数分たりともキミを忘れた事はない。好きだよ。またね』


メッセージが終わり、ミニミゼルが手紙を畳むように動く。
私はカレンダーの上部中央に書かれた大きな12の数字を赤いペンで囲み、自室を飛び出した。

法条くんに相談しに行かなきゃ。
ミゼルが来る事、それにあわせて何日か休みを貰いたい事。
もちろん、クリスマスの日は確実にお休みを貰うつもりだ。


2016.10.25