アリスドラッグ | ナノ


▼ エンドロール6



 カイに少し、魔力をあげた。部屋の窓から抜けだして、外にでて、そして空を駆ける白馬で西の森へ向かった。

 小さな窓から星空の中へ――幼いころに夢をみた、「不思議な世界へゆくための扉」を開けたような、そんな不思議な心地がした。それでも、この空の旅は大好きな人とセックスをするためのものなのだと思うと、不思議なノスタルジーに苛まれて切なくなる。子供が憧れるようなきらきらとした魔法をみせてくれるカイと生々しいことをするというのは、なんだか変な気分になった。でも、手綱をひくカイの背に抱きついて、これから抱かれることを考えていると、幸せな気分になった。



「カイ……」

「ん」

「……ドキドキします」

「うん……」



 夜風の香りが好きだ。透き通っていて、今日一日の出来事を思い出させて、そしてまた明日へ繋いでくれるような香り。昔は一人で感じていたこの匂い。そのなかに、カイの匂いと温もりが混ざっている。不安定だった明日は、確かな明るい未来へと変わっている。

 変わった……僕は、変わったね。貴方と出逢って……世界は、きらきらと輝きだした。大人になったら、もしかしたらこの美しすぎる思い出を、夢だったんじゃないかって思うこともあるかもしれないけれど……一生忘れない熱を、これから貴方と一緒につくるんだね。


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