甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 vingt et un


 こんなに一週間を長く感じたことはなかった。待ちに待った、日曜日だ。そりゃあもう、昼間の俺はおかしかった。バイト中、ずっと「どうしたの」って聞かれていた。でも、おかしいのなんて当たり前だ。だって、今日智駿さんとすることは決まっている。


「……こんにちは」


 ……智駿さんに、めいいっぱい愛してもらう。そんなことされるって事前にわかっておいて会う、そのドキドキ感。はたから見ても何かに期待しているとわかるだろう。


「梓乃くん。こんにちは」


 あんまり俺たちは、頻繁に連絡を取り合うなんてことはしない。瑠璃に付き合わされた日からも、ポツポツと連絡をしたくらいでそんなに言葉をたくさん交わしていない。

 そんなわけで智駿さんの「ジュトゥヴ」がずっとじくじくと俺のなかに残っているし、そしてこれから智駿さんとすっごくエッチなことするし、俺は智駿さんとちょっと会話をしただけでおかしくなってしまいそうになった。


「この前の梓乃くん、可愛かったね」

「か、可愛いとか……」

「あれから、何してたの?」

「べ、べつに……特別なことは、」


 車に乗りながら、ぽそぽそと会話を続ける。やっぱりあのときの智駿さんは確信犯だったのか、とか、あれから俺は智駿さんのことを想って一人エッチがすごく滾っていました、とか、言おうにも言えないような言葉を飲み込んで、座席に座った。


「梓乃くん」

「……はい」


 シートベルトをつけようとしたとき、名前を呼ばれる。その声色に、なんとなく感じ取った。これ、何かされるって。


「梓乃くんってさ、色々無自覚だよね」

「えっ?」

「ちょっとした仕草がね、結構僕を煽ってくるんだよ」

「えっ、えっ」

「カヌレを食べたときの、あの顔とか」


 ぐ、と智駿さんが乗り出してきた。あ、キス、される。でも前に車でされたときと雰囲気がちょっと、違う……?


「だから、僕はずっと梓乃くんのことを考えてずっと、こわれそうになっていた」

「……ッ」


 すごい、口説き文句じゃないだろうか。そんな、奥に秘めたものを抑え込むような言葉を……そう、いつも智駿さんの見せる、瞳の奥の炎のような言葉を、さらっと智駿さんは言ってのける。微笑みは絶やさずいつものように穏やかな表情、それでもやっぱりその瞳は灼熱。その、ギャップが凄まじく、魅力的だと……そう思う。

 智駿さんは余裕そうに見えて実は余裕があるわけじゃなくて、だからふとした時に熱を見せてきて。今の智駿さんは、きっと俺と同じように一週間という短いようで長い長い時間が募った末の、爆発を起こしている。そんな智駿さんのしてきたキスは……すごかった。前にした触れるだけのキスとは、全然違かった。


「んっ、んんっ、んっ、!」


 激しい。とにかく、熱いキス。舌を持っていかれる、そんな風に俺は舌を伸ばしたけれど、ほとんどされるがままだった。口の中の気持ちいいところを智駿さんが責めてきて、口の中にも性感帯ってあったのかなんて、思う。


「あっ、あ、ふ……」


 下腹部がゾクンゾクン、って震えた。キスで腰が砕けるなんて……すごい。座っているのに腰が砕けているなってわかるくらい下半身に力が入らなくて、熱くて、気持ちいい。頭を掴まれて、食べられちゃいそうなキスをされて、もう俺はとろとろになってしまっていて、このままイキそうになってしまう。


「んんっ!?」


 もう、いっちゃう……! 白波が頭の中に迫ってきた、そのとき。ビックン、と激しく腰が跳ねた。智駿さんが、俺の股間にぐっと手を当ててきたのだった。


「んっ! んんっ……!」


 腰を布越しに大きく揉まれる。突然そこを揉まれたりして、俺の身体はやたらと過剰に反応した。あんまりにも強い快楽にビクッ、ビクッと腰が揺れて、脚は閉じるのが開くのかばたばたとしてしまって落ち着かない。ぐっ、ぐっ、と激しくにそこを揉まれて、ズクンッ、と電流のようなものがしきりに下から勢いよく迫ってくる。


「んっ、んんっ、んっ、んっ……!」


 あっ、もうだめ……。

 腰が、ぐぐっと勝手に浮き上がる。じゅわじゅわと快楽が膨らんでいって、そして……


「んーっ……!」


 弾けた。

 がくがくっと腰が震えて身体が強張る。さっそく、イっちゃった……。智駿さんは俺がイったのに気付いたのか、ゆっくりと唇を離してゆく。


「相変わらず……可愛いね」

「ちはやさん……」

「梓乃くんのイキ方可愛いから、いっぱいイかせてあげたくなっちゃうな」

「んぁっ……あぁん……」


 イったばかりで敏感になった股間を、また智駿さんがもみもみとしてくる。俺の全身を揺するように、ぐっぐっ、と力強く。狭い車内では逃げることもできなくて、腰がくねくねと動いて。唇を解放された俺は声を塞がれていないから、ただただ蕩けた声をあげてしまう。


「あぁん……あっ……あぁ……」

「あはは、可愛い」

「あぁー……」


 智駿さんは俺の顔をじっと見つめながら責めてきた。一度イった俺の身体はイきやすくなっていて、再び絶頂の波がやってくるのも早くて。俺は智駿さんにイキ顔を見られながら、二回目の絶頂を迎えた。

 早々に二回もイかされた俺はすっかりぐったりとしてしまっていた。智駿さんはそんな俺を見て「可愛い」と呟くと、柔らかいキスを落としてきて、ようやく車を発進させたのだった。


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