甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 huit

「……」


 朝日が差して、目を覚ます。ちゅんちゅんと鳴いているスズメの声が、爽やかな朝にふさわしい。

 でも、俺が爽やかな気分かというとそうではない。今、俺を抱きしめてすやすやと寝ている智駿さんにエッチなことをされる夢をみたからだ。すごく、いやらしいことをされている夢。

 ほんとに、俺、エッチなことを考えてばっかり。でも仕方ないって、思わなくもない。あの気持ち良さを知ってしまうと、もうそのことで頭がいっぱいになってしまう。一瞬でもそのことを思い出すと身体の奥がじんじんと熱くなってきてしまう。


「……ん」


 また、思い出してしまう。すうっと智駿さんの匂いを吸い込むと、お尻の奥がきゅっと締まった。

 昨日は、寸止めされちゃった。身体がまたむずむずしてきたし。ちょっとだけ……

 俺は布団の中で、そっと自分の胸元に手を伸ばす。そして、智駿さんにされたことを思い出しながら、服の上からこしょこしょと乳首を指で引っ掻いてみた。


「ぁ……」


 かり、かり、と服の上から乳首をひっかくと、ぞくっとする。でもやっぱり、自分でやるとそこまで気持ちよくない。昨日の智駿さんに触られたときと比べると、全然刺激が足りなかった。

 きゅ、とつまみあげてみる。そして、くいくいと引っ張ったり、こりこりとしてみたり。ふわっと漂ってくる智駿さんの匂いが、更に俺の興奮を煽る。


「……ん、……は、ぁ……」


 それでも、やっぱり足りない。昨日よりも全然気持ちよくない。もっと智駿さんを感じなきゃ、俺はイケない。ぴた、と智駿さんの胸元に顔を寄せて、いっぱいに匂いを吸い込んだ。


「……ッ! あ、……ぁっ」


 匂いが身体の中に入り込んだ途端、ぞくぞくぞくぞくっ、と快楽が全身を突き抜けた。やっぱり、俺、智駿さんを感じると、身体が敏感になる。


「は……っ、ぁ……ッ、く、」


智駿さん、智駿さん……


「は、ぁっ……!?」


 智駿さんの匂いに酔うように自分の身体を慰めていると、突然、ずくんと下腹部が熱くなる。何が起こったのかと俺がギョッとしていれば、お尻の割れ目のあたりに智駿さんの手が入り込んでいる。そして、穴があるあたりを、ぐ、ぐ、と布越しに押してきていた。


「あっ……ふ、……ぁあっ……!?」


 なに、これ。急に襲ってきた刺激に、俺の身体はビクビクと震えてしまう。ぐりっとされるたびに奥のほうがキュンッと締まって、腰が跳ねる。


「あっ……ぁ、ンッ……ち、はやさ……」


 起きてたの、智駿さん。もしかして俺が一人でシているの、気づいていた? 恐る恐る智駿さんの顔を確認してみれば……智駿さんは目を閉じている。寝ている、のだろうか。じゃあ、これは寝ぼけて……?


「ひゃっ……あぁッ……」


 お尻から手が退いて、胸元にやってくる。そして、俺の乳首を、きゅううっ、と摘んだ。解放されて寂しげな下半身には、智駿さんの脚が。俺の脚の間の割るように智駿さんの脚が入り込んできて、腿のあたりで股間をぐりぐりっとされる。


「あっ、あっ、……やっ……ちはや、さん……」


 ほんとうに、寝ぼけてる? こんな風に寝ぼけながら責められるもんなの?

 そんなこと、俺にはわからない。寝ぼけているのか、そういうフリをしているのか……そんなことは智駿さんにしかわからない。


「んーっ、んっ、……ふ、」


 大きな声がでそうになって、ぎゅっと手で口を塞ぐ。それでも、声はでてしまう。気持ちいい。やっぱり、智駿さんに触ってもらうと俺の身体は歓んでくれる。


「あっ……あっ……!」


 疼くお尻を、智駿さんの脚がいじめる。ぐりぐりと脚の間を擦りあげてきて、お尻の奥の方の熱いところにその振動が届く。奥のほうから、甘い蜜がこぼれ出すような錯覚を覚える、そんな気持ち良さ。じーん、じわじわ……と熱がふくれあがってぞくぞくしてきて、これが女の子が気持ちよくなる感覚なんだな、と思った。


「あー……あーっ……だめ……」


 智駿さんの脚の動きに合わせて俺の身体が揺すられる。好き。こういうの、すごく、好き。


「ちはやさっ……いくっ……い、いく……あっ、あッ……!」


 やばい、やばいやばい、気持ちいい……! 智駿さんにイかされちゃう……!!


「――梓乃くん」

「……っ、」


 もう、イっちゃう……そんなとき。不意に名前を呼ばれる。ハッとして顔をあげると智駿さんが微笑んで俺を見下ろしていた。

 やっぱり智駿さん、起きて……


「かわいい」

「おきてたん、ですか……」

「ごめんね、かわいすぎていじめたくなっちゃった」


 ふふ、と智駿さんが笑って俺を抱きしめる。そうすれば智駿さんの熱と匂いに包まれて、俺の身体に蓄積した快楽がじわじわと膨らんでゆく。

 また、寸止めだ。智駿さんの、いじわる。イきそうなところで寸止めなんてされたら……俺、頭とからだがエッチなことでいっぱいのまま。こうして抱きしめられて、匂いでまた気持ちよくなっちゃって……中途半端になった快楽が爆発しそうになる。


「あ……ぁ……」

「梓乃くんの身体、熱いね」

「ちはやさん……」


 もっと、ぐちゃぐちゃにして欲しいし乱暴にされたいし、ひとつになりたい。でもそんなこと言えなくて、俺はゆるゆるとした智駿さんの責めに悶えることしかできない。

 こうして抱きしめられて、匂いだけでおかしくなりそうになって、びくっ、びくっ、と震えながらもイけない……そんな、焦らされている感じにも、たまらなかった。智駿さんに翻弄されている自分が、好き。

 イキそうなところまで責められて、気持ちよさでいっぱいになった身体を抱きしめられるのは気持ちいい。はあはあと息をこぼす俺を労うように、智駿さんが頭を撫でてくれるのも気持ちいい。でも……


「智駿さん……」

「ん?」

「あ、あの……お手洗い貸していただけませんか……」


 実のところ、俺、勃ってる。ふわふわした気分でずっと抱きしめられていたいところだけど……ずっとこのままでいるのは結構辛い。トイレでさっと抜いてこよう、そう思ったら、


「ここでしてもいいよ」

「えっ!?」

「……これ、処理してくるんでしょ」

「あっ……!」


 ……智駿さんに、バレてた。つ、とソコを撫でられて変な声を出してしまった俺を、智駿さんがいじわるに笑って、見下ろす。


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