甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 sept(2)


 白柳さんはじっと俺を見つめてくる。俺の顔なんて見てないで早く次に進んでくれと言いたいところだが、その言葉すらも恥ずかしくなってくる。おかしい。こんなの俺じゃない、というよりこの年になってこんなにも恥ずかしがってしまうことが、そもそも恥ずかしい。


「……」

「んっ……?」


 俺が黙り込んでいると、白柳さんが俺の唇をふにふにと親指で触ってきた。切なかった場所を触られて、あまりの気持ちよさにうっとりとしてしまう。まぶたがとろんと落ちてきて、ひく、と腰が揺れた。

 
「あっ……、は、……」


 口の中に、指が入り込んでくる。軽く舌をくちゅくちゅと弄られると、我慢できなくなってそのまま指に吸い付いた。キスをして欲しくてたまらない、そんなさみしがり屋な舌を彼の指に絡めて、寂しさを満たす。

 
「可愛いなあ、セラ」

「ん……、ん、……」

「口寂しい?」

「あ……」


 ぬぽん、と指が引き抜かれて、また寂しくなる。口のなかを満たしていたものがなくなってしまう、その感覚がたまらなく切なくて、思わず俺は白柳さんの手を掴んだ。しかし、白柳さんが再び俺の口に指を挿れてくれることはなかった。

 ぐっと顔を近づけてきて、もう一度「寂しいのか」と聞いてくる。答えるのが恥ずかしくて、俺は何も言えなかった。少し顔を浮かせればキスできそうだったので、顔を動かそうとしたが……くい、と顔を掴まれてそれは阻まれる。


「ちゃんと言えば、いっぱいやってやるんだからさ。言いなよ、素直に」

「……っ、え、……や、やだ……恥ずかしいです……」

「俺には恥ずかしいところ見せたくないわけ?」

「……そういう言い方、狡くないですか……」


 頭を撫でられる。俺ならおまえの恥ずかしいところも見てやるよ、なんて傲慢な顔をして白柳さんが俺を見つめてくる。腹立つ。この人の、こういうところ。

 
「あの……」


 顔が熱くなってきて、それを見られるのがいやで手で顔を隠した。それでも白柳さんは解放してくれそうになく、俺の上から退いてくれない。

 俺も……はやく、続きをして欲しい。もっと、寂しいところを触って欲しい。胸のあたりがむずむずとしてきて、焦れてくる。


「……キス……もっとして欲しい、……です」



 観念して、呟く。白柳さんにちゃんと聞こえているのかは、わからない。けれど、これ以上大きな声でこんなに恥ずかしいことを言えそうにもないし、ちゃんと聞こえたのか確認したくとも白柳さんの顔を見るのが恥ずかしいし。じわじわと顔が熱くなっていって本当に逃げ出したくなった、そのとき、白柳さんが俺の手を掴んで顔を覗き込んできた。


「ちゃんと、甘えられんじゃん」

「……え、……ふ、ぁ」


 白柳さんは俺の後頭部に手のひらを添えると、そのままかぷりとキスをしてきた。

 たまらなく嬉しかった。はやく、切ない舌を甘やかして欲しくて、彼の口の中に舌を滑り込ませる。そうすれば白柳さんはするりと俺の舌を絡め取ってきて、俺の舌をたっぷりと愛撫してくれた。

 
「んっ……んん……」


 ちゅぷ、ちゅぷ、と甘ったるい音が脳内に響く。それすらも俺を甘やかしてくれているようで、頭がぼんやりとしてくる。ねだるように白柳さんの背中に手を回して、腰に脚を絡めれば、くしゃくしゃと頭を撫でられて蕩けそうになった。


「ぁ……ん、……ん、……」


 白柳さんがキスをしながら俺の服の中に手を入れてきて、肌をまさぐってくる。彼の手のひらがどこかに触れる度にひくひくと体の奥の方がヒクつく感覚に、じわじわといやらしい気分が溢れてくる。けれど、たぶんこうして俺の気分を一番盛り上げているのは、やっぱりキスだと思う。舌と舌がにゅる、とこすれ合うたびに、「もっと」と頭の中で俺は彼に甘えているのだ。

 散々いやらしい経験をしてきて、散々色んな男に抱かれてきながら、キスでここまで感じている俺はおかしいのだろうか。今までセックスが大好きで、虐められることが大好きだったのに……まだキスの段階だというのに俺のあそこは洪水状態。腰がびくっと跳ねるたびに、下着の中で俺の漏らした先走りがぬちゅぬちゅっと擦れるのを感じる。


「あっ……」


 下腹部に手を伸ばされたのを感じて、思わず俺はその手を払う。当然の如く白柳さんは不思議そうな顔をして俺を見てきてので、目が合ってかあっと顔が熱くなった。


「だ、だめ、そこはだめ……今、……すごいことになってる、から……その……見ないで……恥ずかしい……」

「すごいって?」

「あっ……だめ、……だめっ」


 白柳さんは俺の抵抗を掻い潜ってあっさりとズボンを脱がしてしまう。あらわになった下着はびっしょりと濡れて色が変わっていて、あまりの羞恥心に俺は「ばか」と悪態をつくことしかできない。


「本当だ、こりゃすごいことになってるな」

「あぁあっ……」


 白柳さんは濡れた下着の上から俺の股間を掴むと、そのままぐちゅぐちゅと揉んできた。はっきりと、くちゅっ、くちゅっ、といやらしい音が聞こえてきて、本当に本当に恥ずかしい。恥ずかしくてやめて欲しいのに、揉まれたところがジンジンとして蕩けそうで、体の力が抜けて抵抗できない。せめていやらしい声がでないようにと口を手で塞いだが、腰がかくっ、かくっ、と揺れてしまって、感じているのがモロバレだ。


「下着の上から触ってるのに、俺の手、ぬるぬるしてきたよ」

「いや……言わないで……」

「じゃあ、言わないからその手どけてよ。キスするから。手、邪魔だよ」

「……はい、……ごめんなさい……」

「……いい子、セラ」

「あっ……」


 手をどけると同時にまたキスをされて、その瞬間に下着の中でぶぴゅっと射精してしまった。それなのにまだアソコを揉まれ続けて、むしろより激しくまさぐられて、心も体もぐちゃぐちゃになってしまう。キスで唇を塞がれているから声は出さずにすむが、体は余計に感じてしまって腰が激しく揺れてしまう。



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