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57.世界はどこまでいっても神様の庭



「おーっす。待たせたな」

「銀ちゃん、こんにちは」

おーとのそのそ歩いてきた銀ちゃんは相変わらず気怠げに頭をかいていた。馴染みのファミレス。向かいの席に腰を下ろして当然のようにデザートメニューを開いた。

「苺パフェ?」

「んー今日はチョコも捨てがたいな…」

「神楽ちゃんと新八くんは?」

「定春の散歩終わって家に帰してから来るってよ。姫から呼び出しなんて珍しいな。いつもは万事屋に訪ねてくんのに」

「うん。みんなでおやつ食べたいなーって思って」

ふーんと返事だか独り言だかわからない声を出して店員さんを呼んだ。

「苺パフェ一つ」

「銀ちゃん、わたしも苺パフェ」

「珍しいな姫がパフェとか」

「美味しいよねぇ」

「………なんか、姫ちゃん雰囲気変わった?あーわかった髪切っただろ」

苺パフェ二つねと店員さんに言い直してパタンとメニューを閉じた。それからじっと顔を見て的外れなことを口にする銀ちゃんがおかしくて思わず笑いが溢れた。

「ふふ、銀ちゃん。久しぶりだね」

「あ?いやついこの間会っただろ見合いの時に」

「そうだね」

訝しげな視線を向けてくるのは無理もない。確かに今日のわたしはどう見ても変だと思う。

「あのね銀ちゃん。今日はお礼を言いたかったの。出会ってから今までずっと支えてくれてありがとう。力になってくれてありがとう。友達でいてくれてありがとう」

そう言うと本格的に深刻な顔をした。

「何、もしかして元の世界に帰る方法でも見つかったとか?」

「ううん。もう帰れないと思う。神様とさよならしたの。神様の力がないと世界を超えられないから。それにもう帰る理由もなくなったの」

「…ちょっと話が見えねーんだけどもしかしてスピリチュアル系の勧誘だったりする?悪いけど銀さんそーいうのマジで信じてないから。ていうか…」

何かを言いかけたタイミングで店員さんがお待たせしましたーと会話を割って目の前に苺パフェが置かれた。いつ見てもつやつやで綺麗な盛り付け。

「初めてこれ食べたとき、すごく美味しかったけど…みんなと一緒だからこそ美味しいって思ったんだよ。こうやってテーブル囲んでわいわいしながら食べたの、すごく嬉しかった。大事な思い出だよ」

「…お前」

「お待たせヨー!あー!銀ちゃんと姫先にパフェ食べてるネ!ずっるいアル!」

「姫さんこんにちはー、いやぁ暑くなってきましたね」

カランカランと店の鈴を鳴らしながら入ってきた二人にこっちだよと手を振って合図する。これで万事屋のメンバーが揃った。

「神楽ちゃん新八くん、久しぶりだね」

「へ?この間会ったばっかりアル…わっ!」

立ち上がって神楽ちゃんと新八くんに抱き付くと、驚きながら支えてくれた二人と顔を見合わせる。

「帰ってきたよ!ただいま!」

「……っ姫!!」

「もしかして姫さんなんですか!!?」

「随分と遅い帰りだったな、家出少女さん」

話の筋をようやく理解した銀ちゃんもわたしの肩に手を置いた。

「うん。遅くなっちゃったけどちゃんと戻ってきたよ」

「良かった…本当に良かったです!」

神楽ちゃんは少し目を赤くして「ホントにホントに姫アルか!?」って何度も聞いてきた。大江戸プールでツルツルに滑ったこと、二人でラジオ体操に出て万事屋で朝食を食べたこと、バレンタインチョコを作ったこと…数えきれないくらいたくさんの思い出をあげて、楽しかったねって言うとようやく笑ってくれた。とんでもない力の包容に危うく天国に行きかけたけど銀ちゃんと新八くんが止めてくれた。そんなわけでファミレスの真ん中で大騒ぎしたものだから案の定お店の人に怒られてしまった。それからは大きな声を出さないように内緒話してたけど、でもやっぱりパフェは甘酸っぱくて楽しくて、美味しいねーってわざと大きい声で言って笑った。
これからも仲良くしてねと改めて言葉を交わして満ち足りた気持ちでファミレスを出た。帰り道に公園の前を通ると小さな泣き声が聞こえた。見ると蹲って一人泣いている男の子がいた。

「どうしたの?」

「っひっく、転んで、ここ痛い…」

ここ、と指したのは膝小僧で擦りむいて血が滲んでいた。一緒に水飲み場に行き傷口に付いた砂を洗い流しながら、そっと手を当ててみた。けれどどんなに集中しても願いを込めてもその赤が消えることはなかった。

「おねぇちゃん?」

「綺麗になったよ。おいで。もう少し歩けそう?」

「うん」

ベンチに移動してハンカチを巻く。あ、そうだ。巾着から飴を一つ取り出して見せ、お手玉みたいに右手と左手にポンポンと移動させてどっちだ?と聞いた。少し考えた男の子がこっち、と右手を指したのを合図に手のひらを返した。

「惜しい!正解はどっちもでした〜」

「すごーい!飴が増えた!」

「はいどうぞ、元気が出るよ」

「ありがとうおねーちゃん!」

飴を受け取って嬉しそうに駆けていく男の子に手を振った。もう膝は痛くないみたい。飴を握っていた右手は少し前と何も変わらない。でももう月の力は全く感じなかった。神様の声も、記憶を取り戻したあの日が最後だったのだという確信があった。

「本当になくなっちゃったんだ…」

もう何の力も持たない真っさらなわたしは、この世界でどうやって生きていこう。仕事は真選組の女中として今まで通り働かせてもらうことになっているけど、記憶が戻った今、それだけでいいのだろうか。総悟くんの側にいるのは今のわたしでもいいのかな。不釣り合いじゃないかな。傷を治せないわたしは真選組にとって必要だと思って貰えているのかな。記憶を思い出せば何か変わると思っていたこの悩みは未だに頭の中に残って消えなかった。

「隣、良いかしら」

「わっ!は、はい、どうぞ」

突然声をかけられて素っ頓狂な声が出た。すぐに腰を浮かしてスペースを空けようとすると、白いコートが視界に入った。失礼と思いながら隣に座った女性を見ると藍色の長い髪を揺らし膝に置いた紙箱をぱかりと開けているところだった。甘い匂い。ドーナツだ。

「あ…えっと…確か信女、さん?」

以前、と言っても二年前にこの公園で一度だけ話しただけの子だ。あの時はわたしの方がドーナツを買って持っていて、信女さんに分けてあげたんだ。思い出の中の彼女が更に凛とした空気を纏っている。

「あの時は貴女の名前を聞いてなかったわね」

「姫です、お久しぶりです」

信女さんも覚えてくれていたんだ。笑いかけると無表情で手の中のお菓子を頬張った。もぐもぐと口を動かしている仕草がリスみたいで可愛い。

「ドーナツが好きなんですか?」

返事はないけど肯定だろうと想像がつく。相変わらず腰には白い鞘の刀があった。

「何処にいたのか知らないけど随分と気の抜けた顔になったわね」

「え?」

「前に会った時は今にも泣き出しそうにしていたから」

「あ……」

だから覚えていたんだ。思い返せば、この場所で話をしたのは一番心が不安定な時だった。

「そうですね。あの頃は影が怖くて、夜が来るのが怖くて……ずっと悪い夢を見ているみたいでした」

全てを終えた今となっては残夢の影に怯えていたのが遠い昔の頃のように心が穏やかだった。実際もう相当な時間は経っているんだけど。信女さんに会ったのはその恐怖が一番強かった時。そして自分の力不足がもどかしかった頃。腰に添えられた刀を羨ましく感じたんだ。

「もう怯えなくても大丈夫だってわかってすごくホッとしているけど、でも…いつかまた不安になる時があると思うんです」

それはまだ見えない先の話。ひとつ問題が解決すると今度は別のことに意識が向いてしまう。そう例えば、総悟くんの背負うたくさんの命と彼の行く先について。これからも彼は真選組として近藤さんや土方さんと同じ目線で物事を見て、自分の意思でこの町を守っていくのだろう。歳を重ねる毎に逞しくなっていくその隣にずっといたいと思ってる。その時わたしはどうあるべきなのか。

「世の中を壊そうとする人が怖い訳ではないけど、戦い続けることは大変なことだから。だから役割があったら良いなって思うんです。唯一持っていた武器がなくなって…わたしに何ができるのか、まだわからなくて」

また脈絡もない話になってしまったなと気付いて顔を上げると信女さんはどこか遠くの方を見ていた。

「武器を持たないことは必ずしも弱くなる事じゃない。それに、役割なんて建前。…ただ認めて欲しいだけでしょう。自分の存在を」

「……、そう、ですね」

ドーナツを咀嚼する合間に紡がれる信女さんの言葉は妙にすとんと心に落ちてきた。ストレートで裏の感情がないことがわかるからだろうか。

「信女さんには救われてばかりです」

「それで、決まったの?」

「何がですか?」

「前のドーナツのお礼」

「ドーナツの……お礼………あっ、」

そういえば確か以前会った時に『もし次に会うことがあったら一つだけ言うことを聞いてあげる』……確かそんなことを言われた気がする。まさか覚えていてくれてたなんて。

「じゃあ…良かったらうちにお茶を飲みに来ませんか?ドーナツ食べて喉乾いたでしょう?」

「…それだけ?」

「だめでしょうか。せっかく会えたから信女さんともっと仲良くなりたいんです」

「……行きましょう」

立ち上がり服に付いた食べカスを払い歩き出した信女さんは、やはり真選組の隊服に似たような白い服を着ていた。戦う、人。屯所が見えてくると信女さんの雰囲気が何となく重くなっていく気がした。そして入り口の前で遂に立ち止まってしまった。

「どうかしました?」

「貴女、ここが何処だか分かってるの?」

「あ、言ってませんでしたね。実はわたし住み込みで女中をさせて貰ってて」

「おお姫ちゃん、おかえ…………り………?」

その時丁度出てきたのは近藤さんだ。わたしと信女さんを見て動きを止めて目をパチパチさせている。

「近藤さん。ただいま戻りました」

「えっちょっと待って何でその組み合わせの二人が一緒にいるんだ?いや良いんだけど問題ないんだけど真選組的にはちょっと、いや、別に支障ないようなあるような」

「帰る」

「えっ!」

何故か驚いている近藤さんにくるりと背を向けた信女さん。その先には、総悟くんがいた。

「あ?何だてめーまたやられに来たのかィ」

「どっちの台詞。負けてない」

「総悟くん、信女さんと知り合いだったの?ていうか、近藤さんも…」

しかもただならない雰囲気。仲が良いとは言えないようなやり取りに不味いことをしたかなと不安になってくる。

「見廻組っつって真選組の真似事してる組織の副長」

簡潔かつ興味なさそうに答えた総悟くんの言葉に抑揚はない。ポケットに手を突っ込んではいるけど瞬きする間に抜刀しそうな勢いだ。女の子相手にそんな目をするなんて初めて見た。

「今日はそんな下らない事で来た訳じゃない。世間知らずの小娘が茶をしばこうって言うからついて来ただけ」

「へー誰が誰をしばこうってんでィっつーか誰が小娘だって?」

「ちょ、ちょっと二人とも止めて。信女さん、外でしばきましょう!お茶を!」

「上がりな」

バチバチ火花を散らしそうな二人に声をかけるとスッと殺気を消した総悟くんは頭にぽんと手を乗せて屯所を出て行った。

「姫ちゃんの友達として来たんだろう?ゆっくりして行ってくれ」

近藤さんもそう言ってくれたので客間に上がってもらった。やっと落ち着いた。何だか、悪いことをしてしまった気分。客間に来るまでの間もすれ違う何人かの隊士さん「見廻組が何故ここに?」と訝しげな顔をされてしまった。信女さんは涼しい顔をしているけど…。

「はい」

「あ、ありがとうございます」

手渡されたのは美味しそうなポンデリング。甘い砂糖の香りが食欲をそそる。一口サイズにむちっとちぎると目の前の人は豪快に齧り付いた。

「美味しいです!」

ちらりと目が合って、お茶を飲む仕草に全く音がしないなぁなんて思っていると信女さんの方から着信音がした。

「あ、電話どうぞ」

「メールだから」

そう返してまたぱくりと頬張る。大丈夫ってことなのかな。そういえばこの間総悟くんから貰った携帯、身に付けているけどまだあまり使っていない。今までなくても大丈夫だったからなぁ。

「そう言えば携帯で聞きたいんですけど、絵文字ってどこから出すかわかりますか?信女さん詳しそう」

携帯を出してみると細い指がボタンを操作して顔文字が出て来た。あ、可愛い。するとまた信女さんの携帯が鳴った。

「彼氏さんですか?」

途端にチャキ、と穏やかじゃない音が聞こえて、慌てて「えーとえーと!あっわかった!お父さんですか!?」と言い直した。

「違う」

「返さなくて良いんですか?」

「一方的に送ってくるだけ。意味も無いし」

「でも、自分のことを考えて送ってくれた文章って何でも嬉しいですよね」

「そういう貴女はあの男に何て送ってるの?」

「あの男って総悟くんのことですか?」

あの些細なやり取りでバレるなんて信女さんが鋭いのかわたし達が分かり易いのか。ほんの少し頬が熱くなりつつ、首を振る。

「まだ貰ったばかりで…この間も友達とアドレス交換しただけなんです。話したいけど用事がないとなんて送ればいいか悩んじゃって」

「自分のことを考えて送ったなら何でも嬉しいって今言ったばかりだけど?」

「……あ、そっか。そうですね、あはは。早速送っても良いですか?」

「どうぞ」

「信女さん見て見て、このドーナツの絵文字可愛い!」

画面を見てこくりと頷く信女さんの携帯がまた鳴った。今度は無視せずポケットから携帯を取り出してポチポチ操作する。なんか今時の女の子友達って感じで楽しいなぁ。メールを立ち上げて、みんなに絵文字を送った。神楽ちゃんにはアイス、新八くんには眼鏡、お妙ちゃんには何にしようかな。あ、近藤さんに似てるゴリラがあるなんて失礼なことを思いながらクスリと笑ってしまった。土方さんにはマヨネーズ。総悟くんには……、うん、やっぱりこれかな。

「…….えいっ」

送っちゃった。見て少しは笑ってくれるかな。ああ楽しかった。

「信女さんもアドレス教えて貰えませんか?今度は外でお茶しましょう」

「良いけど」

信女さんにも早速ドーナツの絵文字を送った。意味も無いし、『突然どうしたの?』なんて返信も来そうだけどみんなの顔が浮かんだから…そんな理由だっていいよね。だって今、同じ町で同じ時間を生きているんだから。

「…貴女の武器は戦う術じゃない」

「え?」

「そうやって一人ひとりの存在を大切に想える心が貴女の武器よ」

長い藍色の髪を揺らして信女さんは席を立った。手には刀。真選組のみんなと同じ。それが彼女の武器。わたしは、刀を持ってない。月の力も神様の後ろ盾もない。ただのわたしが持っているもの、

「…こんな物で良いんですか」

「またね、姫」

閉じられた襖の向こう側。何故か泣きそうになったけど、新着メールを知らせる携帯の音が鳴り止まない。それが嬉しくて携帯をぎゅっと握り締めた。





「帰ったか」

「うん。とっても楽しかったよ」

「まさか知り合いだったとはな」

部屋に入ってきた総悟くんは自然にわたしの隣に腰を下ろした。あれからメールがたくさん届いて、それに返信したりしていると充電が無くなりそうになって、充電器に繋ぎながら返事を打っている。やり取りの中で操作にも慣れて来た。

「さっきのメール」

「うん?」

「あれ全員に送ってんの」

「メールはみんなに送ったけど絵文字はバラバラだよ」

「へー」

聞いた癖に興味なさそうな声。耳の後ろにつんと触れたのは総悟くんの鼻先。甘えるような仕草がくすぐったくてふふ、と笑ってしまう。

「甘い匂い」

「さっき信女さんとドーナツ食べたの。そうそう、今ね、お妙ちゃんと今度新しくできた甘味処に行こうねって話してたんだ」

するとまた携帯の音が鳴った。誰かな?さっきから神楽ちゃんから鬼のような量のメールが届いてるんだよなぁ。閉じたばかりのそれをまた開いて差出人を確認しようとすると不満そうな声が低く耳元で唸った。

「それ渡したの間違いだったかもしれねーな」

「え?…わっ!」

さっと携帯を取り上げられたと思えば肩を引かれ胡座をかいた総悟くんの膝の上に落ちた。膝枕してもらってるみたいな形になって、少し眉を顰めてわたしを見下ろす表情にもしかしてなんて憶測がよぎった。

「やきもち焼いてるの?可愛い顔してる」

「ちげー」

「ふふ、ごめんね。久しぶりのメール楽しくて」

「さっきの絵文字、言葉じゃないと意味わかんねェんだけど」

嘘。知ってるくせに。伝わってるくせに。

「ハートの絵文字の意味はね、好きって意味だよ」

「知ってらァ」

「あはは」

ほらやっぱり。総悟くんもポケットから自分の黒い携帯を取り出して何か操作し始めたと思うとものの数秒でまたパタンと閉じた。同時にわたしの携帯が鳴る。

「見てもいい?」

起き上がってメールを開くと総悟くんから。初めてのメールだ!なんて嬉しく思いながら内容を見れば中身は真っ白。何にも書いてない。

「あれ?空っぽ……っん、ふ、」

振り返ろうとすると既にすぐ近くにいた総悟くんに唇を奪われた。

「最近の若者はすぐ依存症になるから困るんでさァ。適度に現実に引き戻してやらねーと」

ぽいと投げられた二つの機械。両側からほっぺたを手で挟まれてもう目の前の人しか視界に入らない。ちゅ、と子どもの気を引くみたいに可愛らしい音を立てて唇を合わせたかと思えば急に深くかぶりついて来て食べられてしまいそうな錯覚を覚える。口の中が一気に熱く甘くなって、瞼を閉じればもう総悟くんの手中に落ちていく。お互いの衣服が擦れただけで腰が痺れてしまうのは彼の艶かしい舌遣いのせい。

「好き……」

ぎゅっと抱きついて呟いた。何度言っても足りない言葉ばかりが溢れて口に出てくる。あのね、これからもずっとずっと一緒にいたいの。だから考えてた。どんなわたしなら総悟くんに釣り合うか。二年の空白を埋めるにはどうしたらいいのか。答えが出なくてまた迷いそうになっていた。でもそうじゃないよね。考えるべきは貴方が誰を側に置きたいのか。そうしたらすごくシンプルなことなんじゃないかって思えたの。

「ずっと側にいても良い?」

返事はなかった。でも、ふっと笑った。何言ってんだ馬鹿だなって顔して。それが答えだった。



title by まばたき