▼下り坂 はたはたと、シズちゃんの金髪と白いシャツが風にはためく。俺は空気をふくんだ背中に顔をうずめて、ぎゅう、と強く抱きついた。 見上げた頬は、赤かった。 # 長い下り坂を、臨也を自転車の後ろにのせてくだる。初めはきゃーきゃー騒いでいた臨也はいつのまにか黙って、背中に額を押し付けた。白い砂利道を、臨也を落っことさないようにゆっくりくだる。もうすぐだ。 ぐ、と強くペダルを踏み込む。と、臨也が小さく声をあげた。 # 「シズちゃん!海!ついた!」 ぱたぱたと臨也は走り出し、波打ち際で波で遊び始めた。 光る水面はきらきらと輝き、臨也のたくしあげられた白い足をてらした。 夏がきた。 # 夏だあああああ! 梅雨はやくあけてほしい |