「大丈夫か、アグモン…」
「ごめん、太一ぃ。」
「ロップモン、テリアモン…」
「純、ごめんね。」
「僕たち…」
「テントモン…」
「あいつ、とんでもない奴や。」
三人は肩を落とした。
次の作戦が決まるまではアグモンたちを休ませることにした。
「あ、オーストラリアの男の子からメール来てますよ。」
「え、なんだって?」
“さっきのデジタルモンスターというんですか?はじめて見ました。トム”
「こっちはシンガポールからです。」
“こちらが4体で相手が1体なのに負けるなんて、彼ら弱いんじゃない?ジェーン”
「私、ちょっと今からシンガポール行ってくる。」
「バカ!落ち着けよ!」
「太一さん、純さん。クラゲからメールです。」
“もしもしもしもしもしもしもしもしもしもしもし…”
メールにはただ、もしもしと繰り返されているだけだった。
「もしもしもしもし?なんだこりゃ。」
「これ、送信アドレスがNTTになってる…」
「奴は今、NTTにいるんですよ!早くみんなに連絡を!」
太一は慌てて子どもたちに連絡を試みるが、やはり誰も捕まらない。
実際、電話が繋がったのはヒカリだけで、ミミ、丈、ヤマトとタケル、空は話し中で繋がらない。
突然、電話のコール音が鳴り、電話に出てみると、
「もしもしもしもし。」
の声が延々と聞こえてきていた。
もちろん、子どもたちの声ではない。
「やべぇ、どうなってんだよ?」
「奴が交換機に潜り込んで、電話をかけまくってるんですよ。回線をパンクさせる気なんです。」
「そ、そんなことされたら、誰とも連絡が取れなくなる!」
「インターネットだって!」
「あぁ!!」
光子郎が気まずそうに振り向くと、
「切れちゃった…」
今、一番起こって欲しくないことが起こってしまった、と報告されたのであった。
光子郎は慌てて八神家を飛び出して行く。
太一と純は打つ手がなくなり、ただ足の向くままリビングへ向かうのだった。
「母さーん。もうだめかもー。」
「どうしたらいいかわかんないよー。」
「二人とも、なに言ってるの?」
なにが起こっているか知らない太一のお母さんはキョトン、としていた。
その頃、ヤマトは八神家に折り返しの電話をかけていたが、繋がるはずがなかった。
bkm