太一に見つけてもらえた喜びからか、アグモンはピョンピョンと飛び跳ねていた。
「ホントにアグモンだぁ…」
「ほっほっほ。久しぶりじゃのぅ。」
「光子郎はん、元気でっか?」
「テントモン…」
「純は元気に決まってるよねー。」
「だって、純だもんねー。」
「ロップモン…テリアモン…」
画面には一緒に旅をしたデジモンたちの姿が次々と現れていた。
久しぶりの対面ではあったが、どうやらその余韻に浸っている時間はないらしい。
ゲンナイさんの話によれば、パソコンの中に現れたクラゲみたいなデジモンは新種のデジモンでかなり凶悪なものらしく、すぐに倒さなくてはいけないらしい。
しかし、対応策がなく、困っているのが現状だ。
「僕たちが戦うよ。」
「俺たちがネットの中に入り込む。」
「純たちがデジタルワールドを助けてくれたように。」
「今度はわてらが光子郎はんをお助けしまっせ。」
パートナーたちの頼もしい発言を受け、つい泣きそうになってしまうが、なんとか堪える。
「頼んだぜ、みんな。お前らだけが頼りなんだ。」
「モーマンターイ♪僕たち、がんばるよー。」
「純、光子郎。デジヴァイス。」
「もちろん持ってきてますよ。」
「私も!」
三人がパソコンの前にデジヴァイスを掲げた。
「よし、俺たちのデジヴァイスでお前達を進化させてやるぜ!」
「オッケー!」
デジモンたちは順番にネットの世界へと送り込まれて行く。
それと同時に太一は子どもたちに連絡を取り始めた。
「これで一安心だね。」
「えぇ。一時はどうなるかと思いました。」
パソコン部屋からリビングに移り、電話している太一を見ていたが、太一の顔はどんどん曇って行った。
お母さんのケーキ作りを手伝っている場合ではないことは感じ取れた。
太一に話を聞くと、丈は中学入試、ヤマトとタケルは島根に旅行中のようで、連絡が取れないらしい。
「ヤマトとタケルくん、おばあちゃん家に行くとか言ってたっけ…」
「おい、純!空ん家に電話してくんないか?」
「えー、自分でかけなよー。」
「かけらんねーの知ってんだろー!」
怒られてしまったので、仕方なく空に電話をかける。
空は家におらず、空の母が対応してくれた。
電話の途中で帰宅したらしい空は“八神”という名前を聞いて、
「いないって言って。」
と電話の対応をしていた自分の母親に告げ、そのまま電話を切られてしまった。
空の声がちゃっかり聞こえてしまった純は空も意地っ張りだからなー、と思いながら、受話器を置いた。
「空、いないってー。」
「どいつもこいつも役に立たねぇなー。」
三人は急いでパソコンの前に戻るのだった。
bkm