「ところで、ヤマトはどうして私がここにいるって分かったの?」
「あー。ちょっとこっち来て。」
ヤマトはおもむろに立ち上がるとすたすた柵の方へ歩んで行った。
「こーゆーこと。」
ヤマトにつられ、柵の下を覗き込むと、窓から大輔たちが顔を出して手を振っていた。
「純さぁーん!」
「純ー!私のことも頼りなさいよー!」
「大輔くん…空にみんなも…」
「ここ、パソコンルームの真上なんだよ。窓際にいたら、お前らの声聞こえてきた。」
聞 こ え て き た 。
ってことは、え、全部聞こえてたの?!
もしかして、ちょっと嬉しかったとかも聞こえてた?!
と、純が内心わたわたしていると、それがヤマトに通じたのか、
「あいつらにはほとんど聞こえてないから大丈夫。」
と耳打ちした。
どうやら、たまたま窓際にいたヤマトにだね聞こえていたようだった。
「マジかよー!ちょ、俺が泣いたのバレてねぇよな?」
「さぁ?どうだろうなー?」
ヤマトは純の時とは打って変わって、意地悪そうな顔で太一に答えていた。
太一は一人で焦りながら、
「ふざけんなよっ!バレてたらヤマトのせいだかんな!」
とヤマトに八つ当たりしていた。
「もー、二人ともやめなよ。昔から成長してないんだから。」
口では宥めながらも、純はそんな喧嘩ばかりの二人を見て嬉しくなる。
いつもそばで純のことを見守って、励ましてくれる仲間を持った純はもう一人で泣くことはないだろう。
「みんなー!大好きーっ!!」
大好きな空がいつもより近くに感じた。
bkm