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ディアボロモンの逆襲 act.16

二人はなにを話すでもなく、ただ空を見上げた。
空は雲一つない晴天で、嫌みかと思ってしまうほど、綺麗だった。

「私…ね、ディアボロモンが現れたとき、実はちょっと嬉しかったんだ。まだ必要とされてる、この手で世界を救うことができる、って。」
「…」
「だから、なのかな…私のせいであんなことになったのに…もう守れないっ…私、守られる側になっちゃったのっ!!」

純は言い切ると、わんわん泣き始めた。
小さいときからずっと一緒にいる太一だが、こんなに本気で泣く純を見るのは久しぶりだった。
数時間前もきっと同じであろう理由で泣いていたが、ここまで泣きじゃくっていただろうか。
きっと、太一と二人きりになったことで我慢してきたものが溢れ出したのだろう。

今まで何回もデジタルワールドを守ってきた。
そして、その度に必要とされてると感じてきた。

大輔たちがD-3を手にし、2002年の選ばれし子どもたちと聞かされたときに感じたような喪失感。
そして、何故自分たちではないのか、という悔しさ。

それがまた襲ってきたのだった。
それはきっと1999年の選ばれし子どもたち、その中でも共にディアボロモンを倒した太一と純にしか共有できないことであろう。

「俺も同じこと思ってた。本当はヒカリたちの冒険を見てるのも辛くて、怖かった。必要とされてない気がして…」

太一は純の横に腰を降ろし、そっと手を握る。

「ディアボロモンが現れたとき、俺もこの手で救ってやる!って思ってた。ずっとずっと最強だと思ってた…でも…俺も、もう救えないんだよな。」

太一も静かに涙を流していた。



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