(どこだ、どこにいるんだ?)
慌てて飛び出して来たものの、純が見当たらない。
太一は必死に頭を回転させて、純の行きそうな場所を考える。
(そうだ!)
太一の頭にある場所が浮かび、そこへ向かって走り出した。
サッカーをやっているだけあって、足も早く、体力もある。
あっという間に目的の場所の前に辿り着いた。
目の前の扉を開けると、そこには純の姿があった。
「やっぱりな。」
「た、いち…」
どうしてここがわかったの?
そんな顔をしていた。
「お前、ほんっとーに空が好きだよなー。あの空のことはもちろんだけど、この空も。」
太一は頭に幼馴染の彼女を浮かべながら、頭上に広がる空を見上げた。
空はなにがあっても側にいてくれる。
デジタルワールドに繋がってる空が大好きで何かあると空を見るんだ。
いつだったか、純が自分に話してくれた言葉を思い出したのだ。
そして、その空を一番近くで見られる場所。
純は屋上にいた。
bkm