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ディアボロモンの逆襲 act.09

ふいにデジヴァイスから光子郎の声が聞こえた。

「太一さん!ヤマトさん!純さんを連れて逃げてください!アーマゲモンの狙いは純さんです!」
「なんだって?!」
「アーマゲモンは純さんのことを忘れてなんていなかったんです!純さんの写真がなかったのも、クラモンたちが純さんにばかりぶつかっていたのも、純さんをネット世界に行かせないようにするためだとしたら、すべて辻褄が合います!」
「わ、わたし…なんで…」
「純さんの絆の紋章はデジモンたちの進化の要です!紋章の力はまだ失われていません!奴は絆の紋章を奪う気なんです!」
「っくそ!」

太一とヤマトは純の手を取り、走り出した。
逃げろ、と言われても相手がデジモンでは自分たちだけで逃げられる場所なんてたかが知れている。
それでも、二人は純を連れて走り続ける。
こいつだけは絶対に守る、と。
それでもアーマゲモンとの距離は縮まるばかりだ。
このままでは純がやられてしまう。

太一とヤマトはアイコンタクトを取ると純から手を離し、足を止めた。

「純、お前は逃げろ。俺たちがあいつを足止めする。」
「そんなことっ…」
「あいつの狙いはお前なんだ!お前がいないとこの世界は守れない。」
「早くしろっ!」

強い口調で言われ、一瞬たじろいだが、純は動かなかった。

「そんな事ない…そんな事ないっ!私ひとりだったら、この紋章だって持ってる意味なんかない!」

純の目は本気で、太一とヤマトははぁ、とため息をついた。
こういう時の純は誰にも説得できないと分かっていた。
太一とヤマトは目を合わせると、いつかと同じように純と手を繋いだ。
アーマゲモンとの距離が縮まるに連れて、繋ぐ手には力が入る。

「ホンットーに馬鹿。俺たちの勇気を返せよな。」
「ま、そーゆーとこが純らしいんだけどな。」
「怖くないと言えば、嘘。逃げないように捕まえてて、ね。」

太一とヤマトの言葉の受け売りだけど、そう言って純は微笑んだ。
それぞれの手から伝わる思い。
みんな、こんなにも奇跡を信じてる。



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