私が、がっくりと肩を落とし情けない声を出したそのとき、会場からプレゼント交換の音楽が流れてきた。
「あ! プレゼント交換、始まっちゃった」
「今から会場に戻ったのでは間に合わないな」
「そんなぁ、楽しみにしていたのに」
「君は先ほどから、泣いたり笑ったりまた落ち込んだり忙しい。少しは落ち着きを持ちなさい」
「不可抗力です!」
「ほう、そう来たか」
私のその返しが気に入ったのか、氷室先生は愉しそうに口の端で笑った。
「来なさい、プレゼント交換なら二人でもできるだろう」
そしてまた私の手首を掴んで歩き出した。さっきはパニックになっていて気がつかなかったけれど、先生の手ってすごく大きいんだな……。指が長くて、彫刻みたいに綺麗。氷室先生はピアノが上手いって聞いたことがあるけれど、こんな繊細な指は数式を解くよりも、ピアノの鍵盤の上で優雅に踊っていたほうがずっと似合う。
「……ああ、すまない。強く掴んでしまったようだ」
私の視線に気付いたのか、先生が手を放した。
「い、いいえ」
えーと、そういう意味ではないのだけれど。でも先生は放したあとも、私の手のほうを何か言いたそうに見ている。
「あの、先生、何か?」
「小波、君の手首は少し細すぎるのではないか?」
「え? そんなことはないと思いますが」
「そうか……。少し力を入れただけで折れてしまいそうだったので、驚いた。君は華奢なんだな」
そんなことを面と向かって言われたことがないから、頬が紅潮するのが分かった。
「急ごう。プレゼント交換が終わったらパーティーも終盤だ。その様子だと、食事はほとんど口にしていないのだろう?」
「どこに行くんですか?」
「ああ、君に見せたいものがある」
「あ! プレゼント交換、始まっちゃった」
「今から会場に戻ったのでは間に合わないな」
「そんなぁ、楽しみにしていたのに」
「君は先ほどから、泣いたり笑ったりまた落ち込んだり忙しい。少しは落ち着きを持ちなさい」
「不可抗力です!」
「ほう、そう来たか」
私のその返しが気に入ったのか、氷室先生は愉しそうに口の端で笑った。
「来なさい、プレゼント交換なら二人でもできるだろう」
そしてまた私の手首を掴んで歩き出した。さっきはパニックになっていて気がつかなかったけれど、先生の手ってすごく大きいんだな……。指が長くて、彫刻みたいに綺麗。氷室先生はピアノが上手いって聞いたことがあるけれど、こんな繊細な指は数式を解くよりも、ピアノの鍵盤の上で優雅に踊っていたほうがずっと似合う。
「……ああ、すまない。強く掴んでしまったようだ」
私の視線に気付いたのか、先生が手を放した。
「い、いいえ」
えーと、そういう意味ではないのだけれど。でも先生は放したあとも、私の手のほうを何か言いたそうに見ている。
「あの、先生、何か?」
「小波、君の手首は少し細すぎるのではないか?」
「え? そんなことはないと思いますが」
「そうか……。少し力を入れただけで折れてしまいそうだったので、驚いた。君は華奢なんだな」
そんなことを面と向かって言われたことがないから、頬が紅潮するのが分かった。
「急ごう。プレゼント交換が終わったらパーティーも終盤だ。その様子だと、食事はほとんど口にしていないのだろう?」
「どこに行くんですか?」
「ああ、君に見せたいものがある」