14:さがそう

「やっぱ変だろ、オイ。クソオカシーぜ。こんなに待ってんのになぜ誰も戻らねェ……」

 ふと聞こえた声に顔を覗かせれば、様子を見てくると言って甲板に出たサンジさんが森を見つめながら独り言ちているところだった。“リトルガーデン”というらしいこの島は、どこが“リトル”なのか聞きたくなるほど立派に育った木々がそこらじゅうに生い茂っている。
 なんでも、ここへ到着してすぐにサンジさんや皆が島へ降りた時には船に残っていたナミさんとウソップさんが、いつのまにかどこにもいないのだという。きっとあの2人も島へ行ったのかもしれない、と少しの間待っていたけれど、一向にその兆しが見えないのだ。

「……もしかして、皆さんに何かあったんじゃ……」
「ナマエちゃん。……だとしたら、トカゲ料理の支度なんてしてる場合じゃねェな、おれは」

 わたしの言葉を聞いて顎に手を当てながらウンウンと頷き独り言を続けたサンジさんは、不意にひらりとハンドレールを飛び越え島へ降り立ってみせた。

「ナミさんやビビちゃんに何か危険が及んでるかもしれねェ、ちょっと森を探してくるよ。ナマエちゃんはそこで……」
「わ、わたしも行ってもいいですか?」

 この森はここから見る限りでもかなり広いことがわかるし、サンジさん1人で探し回るのは骨だろう。それにナミさんやビビさんだけでなくルフィさんやゾロさん、ウソップさんの身にも何か起こっているかもしれないし、少し心配だ。そもそもわたしが眠りこけてしまっていたのが悪いのだから、捜索の手伝いくらいさせてもらいたい。
 お願いします、とサンジさんの瞳をじっと見つめれば、彼は少し考える素振りを見せた後にニッと口角を上げ頷いた。

「船に1人残すのも却って危険かもしれねェし……オーケー、行こう。足下気をつけて」
「……! はいっ」

 笑顔で差し出してくれた掌をそっと取った。骨張ったサンジさんの大きな手が、わたしの柔な手をきゅっと握りしめる。
 ハンドレールをよいしょと乗り越えて、仕留められた大トカゲの背上に降り立った。船は高さがあるから、わたしにはちょうどいい登り台といった感じだ。

「よし、探そう」
「はい」

 優しく声をかけてくれるサンジさんににこりと返事をし、わたし達は森の中へと歩みを進めていくのだった。

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