インストールされた超魔法 [ 6 ]

あの時に違和感があったんだ。


あの時、ルーシィとレビィにもっと問いただせていれば……


無理やり仕事に、連れて行けばよかった……



ナツの中にいくつもの後悔と誰に向ければいいかわからない怒りが渦巻いていた。
表情をコロコロと変え、騒がしくうるさいが、仲間のために涙を流し、
事態に怯えながらも必ずいつも力になってくれた、ルーシィ。

だからチームを組んだんだ。
これからもずっと、共に闘っていこうと思っていた。

フェアリーテイルが大好きと涙を流した彼女が

フェアリーテイルの仲間を傷つけていく。

そんな状況に―――――


「っっ納得いかねぇんだよぉぉぉーーー!!!」


通路に立ち塞がる金牛宮の星霊に向かいながらも視線をルーシィに投げつける。


「ルーーーーーーシィーーーー!!!」


ナツが今ここにいるルーシィではなく、本来のルーシィを呼び起こすかのように叫んだ。


「ルーシィー!!」
「ルーシィ!!」
「ルーシィーッ!!」


同時に皆がそれぞれの想いをその言葉に託し、ルーシィに向けて叫ぶ。
エルザとグレイの想いを乗せた攻撃が、金牛宮の星霊の動きを押さえ込んだ。



ルーシィを、フェアリーテイルに連れて帰るんだ。



その想いだけを胸に、ナツはルーシィに向かった。









―――― 皆が私を呼ぶ声が聞こえる ――――


早く止めなくては 鍵が握られた手が見える 自分の意思で動かない…

あの 古文書に何が… ママの声… 子供のころに…

そうだ 前にも一度 ――――




奥へ奥へと押し込められた、微かに残る意識が、何かに辿りつく。

その意識とは反して、

ルーシィは向かってくるナツに対して鍵を振った。




「開け!獅子宮の扉!レオ!!!!!」




辺りに獅子宮の星霊が放つ光が広がる。
ナツが放った炎を纏った衝撃が、獅子宮の星霊が放つ光の衝撃とぶつかり、鍾乳洞の中が、大きく揺れた。


「…ロキっ!!!」
「………やぁ」

「お前、わかってんのか!?今はルーシィを止めなきゃいけねぇんだ!!」
「そうみたいだね」


ナツとロキはぶつかりあったままお互いの力で動けずにいる。


「アイスメイク…ハンマー!!!」


そこにグレイがロキの上空から攻撃を仕掛けようとする……が、


「獅子光耀!!!!!!!!」


眩い光に包まれ、視界が消えた。

振り下ろされたグレイの攻撃が地面を叩いて砕ける音だけが聞こえる。
獅子宮の星霊に寸での所で避けられたのだろう。

目を開けているのかわからない感覚と、何も見えない真っ白な視界の中、
背後からタウロスの雄叫びと攻撃を繰り出す音が聞こえてきた。
この中でも、星霊は関係なく動けるようだ。

ナツはどこかにいるであろうロキに向けて叫ぶ。



「お前もフェアリーテイルの一員だろぉがーーー!!!」



ナツに纏う炎が燃え上がり、地面がひび割れ、鍾乳洞が揺れ始める。

その時、ルーシィの詠唱が止まり、先ほどとは比べ物にならない大きな魔方陣が現れ、
全身が弾けとぶような感覚がナツ達を襲った。



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