私の彼氏はブラコンです(イタチ)

 
/ギャグ甘


「ねえイタチ、今日は一日休みだしどっか行こうよ」
「ああ、そうだな。じゃあ甘味処でもいいか?近くに新しく出来た甘味処が美味しいと評判みたいでな」

私の彼氏のうちはイタチ。天才と言われた木ノ葉の抜け忍で一夜でうちは一族を抹殺した犯罪者。そんな彼のギャップともいえる意外な一面は甘いものが好きなところと、あと……

「あ、駄目だ。今日はサスケに会いに行く日だった」

物凄くブラコンだという事だろうか。どこから取り出したのか、イタチはスケジュール帳と思われるものを片手にそんなことを言い出した。

「えっ、また!?この前もサスケくんのところに行ってたじゃない!」

こんな会話は日常茶飯事だが、あまりに頻度が高い為つい強めの口調で突っ込んでしまった。
いつもサスケサスケばっかりで、たまには私の事も構ってほしいというのが本心だったりする。でも、意外に鈍感なイタチはそんな私の気持ちに気づいてくれない。

「許せ、椿。サスケは俺にとって唯一無二の弟なんだ」

涼しい顔でさらりとそんな事を口にするイタチ。私は?私は唯一無二の彼女なんじゃないの!?
そこのところ激しく突っ込みたかったけど、あまりにイタチが真剣な表情をしているもんだからグッと堪えた。堪えましたとも。なんて偉い彼女なんだろう、私は。

「ああそうだ。それなら、サスケも含めて甘味処へ行くことにしようか」

爽やかすぎる笑顔を浮かべながら、イタチが新たに提案した。でも、でもね、イタチ……

「……サスケくんって、甘いもの嫌いじゃなかったっけ」
「…………」
「…………」
「……ナンセンス、俺としたことがそんな大切なことも忘れていたなんて!」

イタチはショックを受けたようで頭を抱えて落ち込んでしまった。この人は本当に、弟を中心に生きている……彼女の私より弟のサスケくん。いっそのことサスケくんとつきあえば?と言いたくもなるけど、流石にそれは私が嫌だ。イタチは私のものだもん。

ま、肝心のサスケくんはイタチに対してすっごく冷たいんだけどね。何せ復讐相手だもの。

「ね、だから今日は諦めて私とデートしようよ。ていうかそうして!」
「……どうした椿、今日はやけに積極的だな」
「だって!せっかく二人揃ってのお休みなのにサスケくんサスケくんって!流石の私だって嫉妬するよ!」
「……ほう」

イタチはゆっくりと私に近づいてきたかと思いきや、ゆるりとなぞるように優しく頬を撫で、顔を近づけてきた。

「い、イタチ!?」
「いや、妬いている椿がかわいいと思っただけだ」

間近にイタチの整った顔面。必死で目を合わせているけど、照れ臭くて、どこか恥ずかしくて、早くも逸らしたくなった。

「さ、サスケくんよりも?」

ああもう、何聞いちゃってるんだろう私は。でも、サスケくんに妬いちゃう私の乙女心も少しは理解してもらいたい。ああでも恥ずかしい!やり場のない照れ臭さに穴があったら入りたくなった。

「サスケも負けないくらいかわいいさ」

その一言にガックリときた。結局イタチにとっての一番は我が弟なのかと。むすっと唇を尖らせイタチから目を逸らした瞬間、イタチの顔がゆっくりと近づいてきてそっと唇を奪われた。

「っ……!?」
「けど、俺がキスしたいと思えるくらいにかわいいのは椿だけだ」

愛おしそうに頬を撫でたまま私を見つめるイタチに、胸がキュンとした。
ああこれが俗にいう胸キュンというものなのか。そう一人頷きながら、私は目の前にいる愛おしい人にハグしてやった。


fin




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