monster1



「も…先生…やめて…!」

「あ?何言ってんだよ。此処に来てるって事はそーゆー事だろ?」

放課後、誰もいない校舎。
保健室でなまえが悲鳴を上げる。

お構いなしにベッドに押さえ付けて、制服を引っぺがす。
ぐちゃぐちゃに乱されたブラウスから剥き出しになった白い肩。
シーツに広がる艶やかな黒髪。

そのすべてが俺の欲を掻き立てる。

もう、何度目だろう?
コイツを呼び出して肌を喰らうのは。


初めはただの好奇心だった。
いつも淡々としてるこの女子生徒にイタズラをしてみたかっただけだったんだよ。

コイツ、変なんだよな。


「先生、また昼寝ですか?」

「んぁ…?悪ぃかよ?」

ベッドを囲うカーテンが開いて、艶やかな長い黒髪が飛び込んでくる。
誰もいない保健室なんて暇だから、俺はよく寝てた。
昼休み、保健委員が当番に来る。
たいていの奴らは俺を恐れて、起こす事もしないのに、コイツだけは違った。

「別に。いるか確認しただけなので。大丈夫です」

それだけ言うと、なまえは無表情のまま、カーテンを閉めてしまった。
そして、自分の仕事へと戻る。
怒る訳でもなく、他の教員にチクる訳でもない。
本当にただ、俺の存在を確認しているだけ。

ほんと不思議だ。
普通、ここって俺を注意するもんじゃねえの?
しかも俺のこの美貌を目の前にしても、眉ひとつ動かさない。

仕事中は女子生徒からもきゃあきゃあ騒がれてるのはもちろん、同僚の女性教員からもちやほやされている。
それだけじゃなくて、街を歩けば女達が振り返る。
そんな俺に関心がないのが物珍しかった。

そんなある日の放課後、なまえが俺の許へやってきた。

「はぁ?発表?そんなもん適当にすりゃいいだろ」

「でも、せっかくの発表だから内容がちゃんとした事を皆に伝えたいんです!」

治療器具が置いてあるテーブルに向かい合って座り、コイツの話を聞く。
どうやら今度の全校集会で保健委員会の発表があるらしい。
コイツは保健委員長だから、明日の委員会での話し合いを前に俺と打ち合わせにきた。

適当に身体測定の平均値の分析表や生活リズムのアンケートの集計結果とかを見せてやれば、真剣にそれに目を通している。
熱心にメモを取りながら俺にも質問やアドバイスを求めたりしてくる。
そして、それを基に発表の大まかな流れの案を作って、ノートにまとめ始める。
俺はぼんやりと頬杖をつきながらそれを眺めていた。

夕暮れ時。

”逢う魔が刻”と呼ばれるほの暗くて美しく妖しい時間帯。

全てが橙に染まった空間はいつもと異なり幻想的だった。

窓から横向きに差し込む長い陽射しは、なまえを照らしていた。

もの静かに顔を俯いて、ノートを文字で埋めていくアイツ。
文字を書く手はまるで海を泳ぐ白魚の様に滑らかで美しかった。
また、それを見つめる顔には伏せた睫毛が憂いた影を作り、形が整った濡れた紅い唇が輝きを帯びている。

それは、少女の様でもあり大人の女にもとれる何とも妖しい魅力に溢れていて…


魔が差しただけだったんだ。
ちょっとした悪戯のつもりだったんだ。

そっと手を伸ばして
軽く唇に触れただけ

なのに、コイツは…

あんなに顔を真っ赤にして、驚いて俺を見上げるから…
いつもの無表情の裏に隠れてた顔が可愛すぎて、歯止めがきかなかくなってしまった。

気付いた瞬間には、なまえをすでに押し倒していた。

そして、そのまま…

それが始まり。


「や…先生…!」

「ヤダって言う割になんで俺が呼びだしたらちゃんと来るんだ?」

首筋に舌を這わせながら、意地悪に問いかけてみる。

「っ…!」

唇を噛み締めて黙るなまえ。
しかも、都合が悪いからだろうか顔を背けた。

まあ、当然だろうな。
俺に誘われて断れる女なんているはずがねぇ。

白衣を纏ったままの俺は、気を良くして自分のシャツのボタンを外していく。

「こっち向けよ」

顎を掴んで、無理矢理に顔を俺の方へ向けさせる。
コイツの瞳に映る真っ赤な空はあの日と変わらず、俺の理性を焼き尽くして本能一色に染め上げた。


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