monster2
「それ、そそるわ…」
涙がうっすら滲む怯えた表情に思わず舌なめずりをする。
大きく目を見開いたなまえが短く息を飲む声が聞こえたけれど、無視してそのまま唇に貪りついた。
深く深く舌を捩じ込み、この妙に大人びた子供を捩じ伏せていく。
唇を離しても、俺達を繋いだままの銀の糸。
それを舌で裁ち切り、胸元に唇を落とし吸い付く。
「痛っ…!」
胸元に思いきり吸い付いて、紅い印を刻んでいく。
夕日に照らされたそれは一層赤黒く影を落とす。
「先生…どうしてこんな事するんですか…?」
涙混じりの震えた弱々しい声が降ってくる。
「何言ってんだ?お前が誘ったんだろ?」
そう、悪いのはお前だ。
俺は普段こんな風に女にがっつくことはない。
言い寄ってくる奴等ばかりで、苦労もしねぇし。
お前の身体が
お前の肉が
俺を惹き付けて離さない。
そのまま、先端にも舌を這わせれば身体はピクンと跳ねる。
口に含んで転がしながら、揉みしだいていけば、身体はその刺激に耐えられず力が抜けていく。
そして、頃合いを見計らい、ショーツをずり下げて秘部を暴くと、其処は既にうっすらと蜜で潤んでいた。
「なまえ…嫌がってる癖に此処は濡れてんぜ?」
揶揄するように蕾に歯を立ててやれば、身体は跳ねて、奥からとろりと愛液が溢れてくる。
素直な反応に高揚する気分。
舌を埋め込んで、粘膜に刺激を与え始める。
まるで獣がこれから喰らう肉を柔らかくするかの様に舐めて解していく。
段々となまえの脚も自分から開いて、やっと俺を受け入れ始めた。何度か肌を重ねているのに、未だにコイツは抵抗してくるんだ。
早く俺のモノになっちまえばいいのにと思う反面、抗わなくなっては物足りなくなってしまうだろうと思う自分もいる。
そんな中、ベッドが軋む音と荒く息をする音だけが部屋を支配していた。
既に俺達は一つに繋がり、境界は曖昧で擦る度に溶け合っていく。
禍々しく背徳的なそれはまるで麻薬の様で癖になる。
何度も何度も求めたくなってしまう。
「も…やだぁ…先生…」
「おい、俺の名前呼んでみろよ」
「っあ…せんせ……」
「ったく、強情な女だな」
口では悪態付くも、楽しくてついつい口角はあがってしまう。
「ほら、呼べって」
そう告げて、奥の方を抉じ開けてやれば
「ひゃあっ…!?やぁっ…おあいて…!」
嬌声混じりに俺の名前を呼ぶなまえの姿に満足感が湧いてくる。加えて、絡み付く花びらと相まってもたらされる快楽に、背中がぞくりと震える。
それは何処か戦慄にも似ていた。
「はぁっ…あぁっ…!」
なまえの言葉にならない声が部屋に響く。俺は息を殺しながら、中心を何度も抉る。
すると、コイツは身体が強張ったかと思うと、ベッドに背中を預けた。
それと同時に、コイツの膣壁が俺の中心に吸い付いて締め付けてくる。
快感に脳が痺れて、意識が舞い上がり浮遊感に包まれた。
何もかもが目の前に広がる紫色の空に吸い込まれていく。
そのまま、俺も達してコイツの腹の上に自分の欲望を放った。
全てが終わり、 情事の痕跡を残さないように自分の衣服を整える。
乱れに乱れてシーツがぐしゃぐしゃになってるベッドの上で、目を虚ろにさせて四肢を放り出しているなまえを見下ろす。
それは行為の激しさを物語っていた。
けれど、その余韻に浸ることもなく感情は急速に熱を失い、理性を取り戻す。
あぁ、馬鹿だな。俺は。
結局、自分が抜け出せなくなるなんて。
俺を狂わせるこいつは怪物で、こいつを貪っても貪っても満たされる事がない俺も怪物。
所詮、この夜に沈みゆく空を引き留める事も叶わずに、ただ見つめる事しか出来ない様な哀しい生き物なんだ。
2015.2.11
天野屋 遥か
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