Love disease1



「やだぁ…おあいて…お願い…」

身体をフローリングに叩きつけられて、髪の毛を引っ張られる。


「うるせぇよ…」

私の大好きな温かい掠れた声が冷たく響く。

大量のアルコールを摂取した彼はいつもこう。
目は据わり、吐息に混じる濃厚な酒気が鼻につく。
馬乗りになって、私を見下す姿はいつもの少し困った様な優しい微笑みをくれる貴方からは程遠かった。


なんでこんな風になっちゃったんだろう…

初めはどこにでもいる普通のカップルだったのに。


おあいては高校の同級生だった。
同じクラスになった事はあったけど、特別話をしたことはなかったし、ただ無口で何を考えているかよくわからないって印象程度だった。

関係が深まったのは卒業後、社会人になってから。
彼がバイク事故で入院した病院で、私は偶然にも看護師として働いていた。

「…もしかしておあいて…君?」

「なまえさん?」

病棟の廊下で思わぬ再会。

「なかなかリハビリがうまくいかなくてさ。こんなんでちゃんと治るのかなぁ」

松葉杖の彼は、現在リハビリ中。
結構酷い事故だったみたいで、後遺症が残らない様に毎日毎日訓練をしていた。

「大丈夫だよ。だって、少しずつ前みたいにちゃんと歩けるようになってるでしょ?だから、治療頑張ろ?」

病室で不安に嘆く貴方を私は精いっぱい励ました。

「なまえがいてくれてよかった」

普段は表情に乏しい彼がたまに見せる笑顔が素敵で、すぐ隣で見ていたいと願うまでに時間はかからなかった。


その後、後遺症もなく退院した彼と付き合う様になった。しばらくすると、段々とおあいて自身も仕事が忙しくなっていった。それと比例するかの様に私と彼の関係には恐怖が色濃く影を落とし始める。


「やぁっ…痛い!!」

お気に入りのブラウスは布の裂ける音とともに意味を持たない布切れと化す。荒々しく衣類に手をかけるおあいてに身体を捩って抵抗した。
この後待っている行為から逃れるために。

「黙れ!」

パンッと乾いた音と共に頬に走る痛み。
恐怖で身体が強張り、小刻みに震える。
涙が溢れてきた。

「はぁ…はぁ…」

人形の様に動かなくなった私を、乱暴に床に押し付ける。床の無機質な冷たさと凍てつく様な彼の視線に血の気が引いていく。その荒い呼気はそれとは裏腹に熱くて、彼が普段抑えている欲望がさらけ出されているようだった。

身体中を這い回る、手、舌…
優しさの欠片もなく、ただ私の肌を荒らして行くだけ。彼のなぞった後には唾液で軌跡が描かれている。
胸の膨らみは強い力で揉みしだかれて、形を変えていた。時折、胸の先を口に含むが痛くなるくらいに吸い付いたり、歯を立てたりと好きなように刺激をよこす。

痛い…怖い…
今、私を抱いてるのは誰なの…?

「おあいて…」

確かめる様に貴方の名前を呼んでも、何も返ってこない。無言のまま、私の両脚を限界まで開いた。

「あぁっ…」

いつもなら、彼の指が中を優しく掻き混ぜると感じるはずなのに…
ただの異物感でしかない。
愛情も何もなくて、ただ粘膜を指が擦っているだけ。
なんて無機質で冷たい行為なんだろう。

それでも女というものは不思議なもので、自分自身を守る為に潤いは増していく。

「うぁ…」

無理矢理に湿らされた花びらに、おあいて自身があてがわれる。
亀頭はエラが張って、ピクピクと脈動するそれは、私には凶暴な獣にしか感じられなかった。

「お前、淫乱だな。
 無理矢理されてんのに、こんなに濡らしやがって」

そう蔑む様に口許を歪めて、腰を私の入り口に沈めた。

「きっつ…」

これ以上傷つけられたくないと唯一の自衛であり抵抗でもある雌の本能は猛った雄を喜ばせるもので。
追い出そうと締め付ける膣肉を掻き分けて、無遠慮に奥へ侵入してきた。


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