feel relieved with1



「ただいまー!」

「おかえりなさい」

仕事を終えてマンションに帰れば、背の高い見事なイケメンがとびきりの笑顔でお出迎えをしてくれた。

「お仕事お疲れ様。なまえさん、お風呂かご飯どっちにする?」

「ご飯!もうお腹空きすぎておかしくなっちゃいそう」

自然に私の仕事鞄を持ってくれて、そんな質問をされると新婚夫婦なんじゃないかと錯覚を起こしそうになる。

「そっか!じゃあすぐに温めて準備するから部屋着に先に着替えて?ちゃんとかわいくしなきゃだめだよ」

「うん!」

自身もモデルみたいに格好よいおあいては、身だしなみにはうるさい。
寝室に行って、部屋着のワンピースに着替える。
もちろん、脱いだスーツは皺にならない様にすぐにきちんとハンガーにかけて置く。
そうしないと、彼にまた注意されてしまうから。
そうして、食卓へと向かった。


「ちょっと待ってね。今、味噌汁温めてるから」

テキパキとテーブルにおかずを並べている彼の様子を感心しながら見つめる。

彼氏であるおあいてはまだ大学生。
出会いは会社の飲み会帰りにたまたま一人で入ったバーで彼がアルバイトをしていた事がきっかけだった。
そこで意気投合して、通う内にこうして付き合う様になったのだ。
大人びている彼は学生には見えなくて、年齢を聞いた時には驚いた。
仕事の愚痴も聞いてくれて、的確なアドバイスまでくれるしどちらが年上なのかわかんないくらい。
しかも、お互いに一人暮らしだからか、今はほとんど私のマンションにいて、こうして家事をしてくれていた。

「「いただきます」」

準備が完了したので二人で食卓を囲み、手を合わせる。
今日は、和食を食べたいとリクエストしておいたら、焼き魚と肉じゃがに味噌汁、ホウレン草のおひたしと白ご飯がテーブルに並んでいた。

「おいしい!」

早速、肉じゃがをぱくりと一口食べれば、美味しくて思わず笑顔になる。
その味は、実家のお母さんの作るご飯を彷彿とさせて懐かしい気持ちを思い出させてくれた。

「前はそんな事なかったけど、今はほんとに家に帰ってくるの楽しみなんだ。
 おあいてが今日は何作ってくれるのかそれを考えてるだけでわくわくする」

「そっか…嬉しいな。僕もね、なまえさんが美味しそうに食べてくれるのを見てるだけで幸せな気持ちになるよ」

瞳を優しく細めて、微笑んでくれるおあいて。
そして、今日、仕事であった事を話したり、彼の大学での話やバイトでの話を聞く。
こんな風にテーブルで向かい合って二人で食事をするのはいつもの決まりで。
仮に私が外で食事をして遅くなったり、彼がバイトに行っている日でも時間を作ってコーヒーを二人で飲んだりする。
二人で食卓を囲む事は大切なコミュニケーションになっていた。


「♪〜♪♪〜」

鼻歌を歌いながら、キッチンでお皿を洗っているおあいて。
食後の手作りデザート(本日はわらびもち)まで食べた後、お茶を飲みながらその姿をぼんやりと眺めていた。
ジーパンと黒のVネックのトップスを身に着けて黒いエプロンをしているおあいて。
シンプルな格好なのに、思わずため息を吐いてしまう位にかっこよくて完璧な主夫にしか見えない。
ただ単に洗い物をしているだけなのに、ドラマのワンシーンの様だった。

「そうだ。なまえさん、僕がお皿洗ってる間にお風呂入ってきなよ」

「あ…うん…」

勧められるままにお風呂に入る。
程よい温度にセットされていた湯船にはすでに入浴剤まで入っていた。
優しい香りとお湯にじんわりと疲れは身体から抜けていく。

「はぁ〜極楽極楽」

おじさんみたいなセリフを独りで言ってしまう。
けれども、それは心から思っている事で。

こんな風に誰かが家に居てくれて、
私の帰りを待ってくれているなんて
あたたかいご飯とお風呂を用意してくれているなんて…

なんてありがたいんだろう。

もともと面倒見がよいとは思ってたけれど、本当におあいてはお母さんみたいだと思った。
思わず、感謝の印に母の日には何か贈り物をしないといけないなぁなんてことまで考えてしまう。


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