catch out



「おあいてさんっ!やめて下さい!」

仕事を終えて帰ろうとしたところ、彼らの控室にいきなり引き込まれて乱暴に壁に叩きつけられる。
そして、そのまま唇を塞がれた。

「んん…ん…」

突然の濃厚なキスに、呼吸を奪われ苦しくなって思わず声を漏らす。
無意識のそれは、仕事の時には隠している本当の性別のもので…

「やっぱり女の子だったんだな。予想通りだったよ」

解放されたと同時に視界に一杯になるのは、天使と称される微笑み。
鼻と鼻がくっつく位の距離で目の当たりにするそれには裏側に潜む悪意が滲んで見えた。
雑誌の誌面で服を魅力的に演出し、男女問わず魅了するはずの笑顔に戦慄が走った。

「どうして…?」

思わず口に出してしまった本音。

私は生活のために男としてモデルをしていた。
数年間この生活をしていたけれど、今までバレるどころか、疑われた事すらなかったのに…

「撮影の時からおかしいと思ってたんだ。
男にしては線が細すぎだったからな」

嗤いを忍ばせながら背骨を壁に押し付けられて、首筋を舐められる。
ギシギシと軋む痛みに耐えていると、いつの間にかTシャツを捲られて、胸をごまかすために巻いていたさらしを上げられる。

「小さいな。まぁ、男のフリできるくらいだからこんなもんか」

この人は感触を確かめるように、左手で膨らみを揉んでくる。

「やめてください!」

「無理だって。今更止められる訳ないだろ」

暴れようとしても、動きを封じられてしまった。
右手で左肩を壁に縫い付けられ、のしかかられて右足を股の間に割り込まされている。

「んっ…やぁ…!」

チャックの開かれたデニムに骨ばった手が侵入する。

「安心しろ。誰にも言わないから女の子の君をみせくれ。な?」

キスを落としながら、耳許で甘く誘うように囁くおあいてさん。
中に侵入した指で、部屋中にくちゅくちゅと水音が響く。
段々と力が抜けて、腰の中が震え始めた。

「ひゃあ…っ!」

「おい、おあいて」

我慢が限界を迎える頃、飛び込んできたもう一人の男の声。

「おあいて2…!」

おあいてさんと私は驚いて部屋のドアへと目を向けた。
そこにはスタイルのよい、まるで人形の様に整った顔をした男性が両腕を組んで立っている。
黒のパーカーに白のTシャツ、少しだけダメージの施されたデニムというシンプルな恰好だったけど、だからこそ、その整った体躯が際立っていた。
彼はおあいてさんと双璧を成すカリスマモデルのおあいて2さん。
そう、今日はこの二人の人気モデルとの雑誌の撮影だったのだ。

「俺を差し置いて、お前だけいい思いしてるとは許せねぇな」

不機嫌そうに、けれどもどこか嬉しそうに鼻で笑うおあいて2さん。

「お前はいつもふらりといなくなるから、てっきり帰ったと思ってたんだけど」

「バカ言え。迷って戻ってきただけだ。それよりも、その面白そうな遊びに俺も混ぜてくれよ」

状況にそぐわないその暢気な会話を聞かされたところで、自分の退路が完全に断たれた事に気づいた。


「あぁ…やぁ…」

ソファに押し倒された私は二人のされるがまま。
デニムもショーツも脱がされ、大きく開かれた両足の間にはおあいてさんがいる。
あられもない姿で喘がされていた。

「しかし驚いた。まさかおあいて2も気付いてたとはな…」

「俺は匂いで直感した」

背後から私を抱きしめる様にして両胸の先端を弄ぶおあいて2さんは淡々とそう答える。

「相変わらず君の直感は凄いな」

感嘆の声を上げるおあいてさんは相変わらず私の中を掻き混ぜながら、時折、固くなった蕾に吸い付いてくる。
その度に指に粘膜は吸い付き、奥からどろりと濃い蜜が溢れだすのが止まらない。

「もぉ…むり…!」

がくがくと腰が震え、限界の訪れを訴えれば

「可愛いな君は…いいぜ?思い切り気持ちよくなってくれ」

優しい言葉と裏腹に指を早めるおあいてさんと

「ほら、イってみせろ。男女」

冷たく言い放ち先端を強く摘まむおあいて2さん。

強すぎる刺激に抗える訳もなく絶頂を迎えた私は、そのまま二人にいい様にされてしまったのだった。


2016.8.10
天野屋 遥か


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