feel relieved with2




「はい、目閉じて?」

「うん」

ソファーに向かい合うように座って、風呂上がりにお肌のお手入れをしてもらうのもいつもの習慣。
おあいてが化粧水を掌に出して、真剣な表情でそれを私の肌に塗っていく。
あんな整った顔が近くに来ることに初めは慣れなかったけれど、今では安心すら覚える。
温かくて大きな手がじんわりと優しく馴染ませていった。

「そういえば、最近、会う人皆に肌キレイになったねって言われるの。絶対におあいてのおかげ!」

「そう言ってもらえてよかったよ」

今度は美容液を肌に馴染ませていく。
皺になりやすい目元には専用のアイクリームを塗り込んでくれた。

「僕が来るまでなまえさんはお手入れが適当すぎたからね。びっくりしたよ。
せっかくきめ細かい綺麗な肌をしてるのに本当にもったいないって思ったし、どうにかしてあげたいって思ったんだ」

肌に成分をきちんと浸透させるために、時間を少し置く。
おあいてはその間も会話をしながら、肩をマッサージしてくれる。

「だって、めんどくさくってさ…よくわかんないし適当に化粧水と乳液だけつけてたの」

「ほんとに信じられない。後さ、もう一つ信じられないといえば、今日洗濯してたら、なまえさんの下着、ショーツのゴムがゆるゆるだったよ。ブラジャーもほつれてたし…」

「ちょ!そんなとこまでチェックしないでよ!しかも痛いって!」

「だって、大切な僕のなまえさんがそんなだらしない下着を身に着けてるなんて許せないからさ」

お仕置きと言わんばかりにマッサージする手の力を強めるおあいて。

「おあいてはいちいち細かいとこまでチェックしすぎなのよ」

「だって仕方ないじゃないか。洗濯しているのは僕なんだから嫌でも目に入るんだし…」

彼と暮らし始めた当初は、さすがに恥ずかしくて下着は自分で洗っていたけれど、段々と慣れてしまって今はもう全てを一任する様になってしまっていた。
だって、いちいち分けるのもめんどくさかったし…
その結果、私のスーツや私服はもちろん、下着の種類まですべて把握されてしまうようになったのだ。

「今度の休み、一緒に新しい下着を買いに行こうね」

「え〜!そんなの恥ずかしいからやだ!」

「何言ってるの?僕となまえさんの仲だし今更じゃないか。ちゃんと似合う可愛いの選んであげるから」

そんなこんなで騒ぎながら、仕上げにクリームを塗ってもらって、そのあと髪の毛も乾かして貰った。



「んっ…はぁっ…」

「なまえさん、気持ちいい?」

就寝前、ベッドに座っているおあいてに跨って腰を振る私。

「ココ好きだよね」

艶めいた声で囁かれて奥を突き上げられれば、甘い痺れに腰がピクピクと跳ねてしまう。

「おあいて…」

堪えきれずに彼の胸に倒れ込み、名前を呼んですがりつけば、嬉しそうに頭を撫でる愛しい恋人。

「可愛い…今日もお疲れ様。沢山気持ちよくなって、ゆっくり休んでね…」

恍惚に潤んだ色素の薄い瞳はまるで蜂蜜みたいで、その甘くてトロリとした眼差しに蕩けてしまう。

おあいてはこんな風に一日の疲れを癒してくれる。

だから、明日もまた頑張ろうと思えるのだ。

2016.7.19
天野屋 遥か



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