基緑
2013/02/03 22:37





ぎゅっとぎゅっと大好きを詰め込んで。


甘く煮詰めてサクサクのパイで蓋をして包み込んで。


君が大好きだよって、少しでも伝わればいい。



「アップルパイ?」

「うん。玲奈に教わりながら作ったんだ。食べてよヒロト」

「へえ。それじゃあ、いただきます」

「どうぞ、召し上がれ」


律儀に手を合わせてからフォークを取るヒロトを緊張した面持ちで見つめながら、俺はどきどきが止まらなかった。見た目はちょっと失敗しちゃったけど、どうだろう。ヒロトは少しでも喜んでくれるだろうか。


「・・・ど、どう?」

「・・・うん、美味しいよ。すごく」

「ほ、本当!?」

「本当だって。・・・でも、俺はこっちのほうが好きかな」


そう言ってヒロトがにっこりと笑ったかと思うと、途端に唇が重なる。確かに至近距離だったけど、これはいくらなんでも不意打ちすぎるキスだ。俺は目を見開いて体の熱が急上昇するのを感じた。


「・・・ば、馬鹿っ!いきなり何するんだよ!」

「エプロン姿の緑川があんまりにも可愛いからつい、ね。ご馳走さま」

「つい、じゃない!あとご馳走さまも違う!」

「だってどっちも同じ味だし」

「えっ?」

「・・・・・・緑川、作ってる最中につまみ食いしたでしょ」

「・・・・・・ちょっとだけ」


ああなるほど、だから同じ味か。なんて、簡単に納得しちゃう俺はやっぱり君に甘いみたいです。



(コンポート)
(もっと煮詰めて)
(溶けちゃうくらい甘いよ)


******************


甘ったるい基緑!
久しぶりに書いた〜(*^▽^*)
最近よく林檎食べてます(笑)

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