ちょっとまって。これはどうしたらいいの?あのまま流れで一緒に帰ってはいるけど、丸井くんあれから全然喋らないし…。いつもの元気な丸井くんはどうしたんだ。

憧れの人である丸井くんに自分から話しかけるなんて、自他ともに認める本の虫な私にはハードル高すぎるし…もう。丸井くん誘ったなら責任とって話題提供してくれてもいいんじゃないの?それでもまともに対応できるか不安なのに。


「なあ、みょうじ」

「は、はい!?」


びっくりした。いきなり話しかけるから。もう、駅までこんなに遠かったっけ?


「今日は帰るの早いんだな。いつもは遅くまで残って本読んでるだろぃ?」

「あ、えっと、今日はいつもより人が多かったから。私、あまり人多いとこ得意じゃないし…。それにちゃんと当番の人も居たからいいかなって」


図書委員長になってから人前で話すことも増えて、少しは慣れたかと思ったけど。やっぱり丸井くん相手だとうまくいかない。


「そっか、確かに今日人多かったもんなー。特に女子!俺ちょっと苦手なんだよね。応援してくれるのは嬉しいけどさ、たいして知らない人に見られて練習するのとかあんまいい気分しないし」


私のつたない言葉にも笑顔で答えてくれて安心したけど、続いた内容に胸が痛む。丸井くんはいつもフェンスの周りにいる人達のことを言っているんだろうけど、私も変わらない。


「みょうじみたいな女子ばっかだったら良いのに!……ってこの前柳と話してたんだぜ?」


違う。違うよ。丸井くんは勘違いしてる。柳くんと普通に話してるし、本しか興味ないって警戒してないんだろうけど。私は、丸井くんのことが好きだし、図書室で観れて嬉しかった。私だって結局は他のファンの子達と同じなのに。


「………みょうじ?」


違う形で出会っていたら?
(きっと、一緒に帰ろうぜ!なんてまね、するはずもない。)
/
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -