「あ、おねーちゃんだ!今日は何読むの?」
「まだ決めてないから、好きなの持って来ていいよ」


そう言って頭を撫でるとまじで!?と嬉しそうにばたばたとかけて行く小学生の純くん。案の定、図書館ではあまり走っちゃダメよ。と司書さんに注意されている。


(やっぱり本に囲まれてると落ち着くな。)


私は1ヶ月に1、2回ほど、とある図書館で読み聞かせのボランティアをしている。と言っても、親戚の子供に読み聞かせしてたらいつの間にか子供が増えてたのが始まりなんだけど。ちゃんと司書さんから許可をもらって毎回私も楽しんでやっている。不定期で行ってるけど、さっきの純くんといい、結構常連さんは多い。今日もいつもの子達がわらわらと集まって来た。


「おねーちゃん!これが良い!」

「うん、良いよ。…あれ、この子は初めましてかな?」

「俺の弟なんだ!」


こうです。はじめまして。とお辞儀をするこう、もとい、航くんはとても可愛い。いや、純くんも充分可愛いけど。


「ていうか、本当にこの本で良いの?」


純くんが持って来たのはシンデレラ。男の子が持ってくる絵本としては珍しい。


「うん!今度兄ちゃんが劇するんだって!」

「へー、何の役するの?」


ニコニコと笑う純くん。本当にお兄ちゃん好きなんだなあ。よく話に出てくるし。


「えっとね。おねえさんのやくっていってた!」


えっへん。と自慢げに答えてくれたのは航くん。え、まじですか。


*****


読み聞かせが終わると、皆それぞれ帰って行ったけど、純くんたちはまだ帰ろうとしない。私もそろそろ帰ろうと、ばいばいと2人に告げる。


「2人はまだ帰らないの?」

「うん!お兄ちゃん待ってるんだ!」


部活帰りのお兄さんがそのまま遊びに連れて行ってくれるらしい。


「へー。良いお兄さんなんだね」

「「うん!」」

「2人のお兄ちゃんならすごくカッコ良いんだろうね」


本当にそう思って言ったら、とても嬉しそうにする2人。お兄ちゃんは幸せ者だな。


「純、航。お待たせ、って…みょうじ!?」

「……丸井くん?」


なんでここに。って、お兄ちゃん!と駆け寄る2人を見れば一目瞭然か。遅くなって悪りいな。と2人の頭を撫でる丸井くんは確かに良いお兄さんだ。一緒に帰ったとき以来、一方的に気まずいと思っている私。ここは早く帰ろう。


「それじゃあ。お兄さんも来たし、私帰るね。ばいばい」

「「ばいばい、おねーさん!」」

「あ、ちょっと待てよ、みょうじ!」


ーとしたのに、丸井くんに呼び止められ失敗。何?と聞くと、


「あ、えーと……、みょうじも一緒に来ねえ?」

「…え?」


何で、と思ってる間に、弟ズ2人がまじで!?いこーいこー!!と私の手をとりどんどん引っ張って行き、私の参加が決まってしまった。
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