明日でいいや、と思ってシンクに置いたままだった食器を洗ってくれているサンジの背中が見える。
夜でも明かりが消えない街。
窓の外からはバイクが走り去っていく音が聞こえる。
こんなに沢山の人がいるのに寂しいだなんて、贅沢かな。
ステレオから控え目な音量で流れているピアノの旋律と歌声のせいかもしれない。
目を閉じて、わざと一つ一つなぞるように丁寧に口ずさんでみた。
そして開いた目の前に広がる綺麗な金色の髪。
歌を口ずさんだ理由も歌詞の意味もサンジは訊かない。
ただただ、優しい微笑みと腕の中の温もりを。
ultimate luxury
(大丈夫だよ、大丈夫。)