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イケメンくんと平凡くんが
お付き合い始めました

三ケ月という限定付きで
完結][イケメン×平凡(主人公)][高校生]



EP.2 二人のはじまり(3/4)
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そんなこんなで昼休み終了まで残り15分を切ったところで、中庭にてようやく昼飯。

「はい、先輩。お約束通りのカツサンドで御座います〜。」

ペリペリっと包装されてるビニールを外して出てきたのは二つ入りのカツサンド。
パット見た目は、ただのカツサンド。
けれどこれが昼時限定、曜日限定、数量限定で限定尽くしで人気すぎる品物だって言うんだから驚き。

「これで今朝のこと許してくれる?先輩。」

「まあ、今回だけな。次はないからな。」

それが自分の手に渡り、口に運ぶだけでこの緊張感。
ではでは心して。

「・・・いただきます。」

「どう?先輩。」

「・・・・・・。」

「先輩?」

「・・・・・・普通。」

「え?」

「すごく普通のカツサンド。」

これほど期待ハズレという言葉がお似合いなモノはないだろう。
美味い、不味いって問われれば、間違いなく美味い!不味いわけじゃない。あれだけ限定尽くしだったんだ。伝説級の幻級だったんだ。不味いわけがない。・・・のだが。
これがそれだって言われると普通。すごく普通。
オレはこのカツサンドの謳い文句に期待しすぎてしまったようだ。

「おっと、俺も食べないと!ではでは、いただきます。」

そんなオレの隣で奴も昼飯、いや昼パン飯にしだした。
ベリベリっと包装されてるビニールを破いて出てきたのはコッペパン。
マーガリンもなければジャムもない普通の普通、ただのコッペパン。

「なあ?それ、お前の昼飯?」

「うん。先輩のを買うのに夢中になってたら自分の分忘れちゃって。気が付いたらアンパンすらなくなっててビックリ!いやぁスペシャルカツサンドが出る日の購買は本気でヤバイね。ジャムとかも売り切られて、このコッペパンでさえギリギリすぎ!本気でもう二度と行きたくない!本気で!」

(コイツ『本気で』を3回も言った。)

でもその気持ちはすごく分かる。
オレも前に挑戦して失敗した挙げ句に他のモノも何も買えず、水道水のみで放課後まで過ごした苦い経験があるからな。
一度経験したら二度はない。あってもいいがオレはゴメンだ。
だからコイツが言った気持ちはすごく分かる。もちろんこれも大事だから2回言いましたっと。

「・・・ほら。」

「?」

そんな気持ちが分かるから。
そんな気持ちが分かったから。

「お前も食えよ。」

「え、いいの?だって先輩が・・・。」

「そんな地味なパンだけじゃ午後の授業キツイだろうが。食っていいから取れって。」

元はコイツのせいで始まりオレにパシられながらも、見事に成し遂げた戦利品。その残りの一つをコイツに差し出す。

「ありがとう先輩。じゃあお言葉に甘えて一つもらうね。お詫びにコッペパン半分あげる。」

「いらねぇよ。そんな何にもないコッペパン。」

期待ハズレだったダメージが大きすぎたのだろう。
そのせいで自分だけっという気分にはなれなかったのだ。
とはいえ、さすがにカツサンド一つじゃキツイから、あとで水でも飲んで耐え凌ぐとするか。

「俺は好きだけどね。コッペパンだけでも。ジャムとかなくてもコッペパンそのものの味はちゃんとしてるし。」

「コッペパンの味って別に普通だろ。不味くはないけどさ。お前も物好きだな。」

「うん。だから俺、先輩とー・・・。」

「コッペパンから、そっちに繋げようとするな。」

他愛なく続くコッペパン談義。

「でもカツサンドも食べればただのカツサンド。コッペパンも食べればただのコッペパン。どっちも結局は普通になっちゃうんだね。・・・人で例えても同じになるのかな?」

「それ。同じにしたら、ただ食いたいだけになるだろ。」

「だってそうじゃないの?食えれば何でもいいって言う人だって、世の中にはいるでしょうに。」

「・・・待て。それ何の話してんだ?」

「え?股間?」

「食べ物からシモの話に繋げんなッッ!!!」

こうして過ごした昼休みももうじきおしまい。
午後の授業が始まってしまう前に、さっさとゴミを片付けて教室に戻ろう。




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