これもイケメン特有の余裕から来てるのだろうか。 篝はそれを一切気にしてないし構ってない。それどころか自分の想いを今度はあの時と違う台詞で告げた。
「俺、羽前 篝は、やっぱり斉藤 崇先輩のことが好きでした。」
その様子は、合わす目も真剣そのもの。
「あれからもタカシ先輩のことが好きなままでした。だから俺とー・・・。」
「・・・・・・。」
「タカシ、先輩?」
一線に繋がった視線が耐えれなくて、オレは逸らして俯く。
「ヤだって。・・・嫌だって、言っただろ!」
だってそうしないと篝が気づいてきそうだったから。 嫌だったはずなのに、もう一度告白されて嫌だった気持ちが変わっていたから。
「・・・・・・先輩。」
自分が篝のことが好きなのか嫌いなのか。それすら整理つかなくて分からないくせに。 なのに変わった気持ちだけは、はっきりしていた。
「やっとうるさい奴から解放されたっていうのに。おかげでこの一週間何もなく感じて・・・、つまらなかった。」
篝がオレの前にもう一度現れて告白された途端、あの時と同じことを言われて同じことを返して、笑ってしまいそうだったオレがいたことを。 嬉しかった気持ちだけは、はっきりと分かったんだ。 あの三ヶ月で篝は本当にオレの考えを覆させたんだ。
「オレこんな出会いじゃなくて、もっと別の出会い方をしたかった。そんなんじゃなくて、友達としていたかった。」
決着つけたはずの答えが曖昧になっていく。
「だから篝とは付き合えない。そういう関係にはなれない。だからそう言った、はずなのに…。」
あの三ヶ月がなかったらよかったのに・・・。 それは篝との出会いさえ、全てを否定させてしまう言葉だった。 そう思ったら悲しくなってきて、そう思ったくせにそれは嫌だと否定させた気持ちを否定させる。 だからこそ、自分の想いが迷子になった。
「じゃあ、そうしよっか。」
「・・・え?」
すると篝は、そんなオレに優しい声色で導こうとする。
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