「ー・・・俺と付き合って下さい。」
ソイツはまたニッコリとした笑顔で唐突にそんなことを言ってくる。 もちろんそれは容易くじゃなくても頷けれるわけがない。 だからオレも、こう返してやった。
「うん。絶対に嫌。」
するとこの男は、相当自分に自信があったようだ。
「えー!?なんで!?」
「なんでって。」
こんなオレにアッサリ振られ、驚いた顔を見せる。
「なんで断るの?だって俺、優良物件だよ!お金はまだ自信ないけど成績だって悪くないし、顔も性格もイケメンだよ!断る理由ないはずだよ?」
「自分で言っちゃうんだ、それ・・・。」
「だって女子なら簡単にお股開くよ。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・かがりん、サイテー。」
「ちょっとタカシ先輩!ここまで同じだったんだから、ちゃんと止めてよ!つっこんでよ!今、全部言っちゃってすごく恥ずかしかったよ俺!」
「なら言うなよ。」
全部あの時と一緒。あの時と同じ台詞。 アイツ、羽前 篝に再び告白られたのだ。 コイツの辞書に「フラれた」という文字は既にあるのに、また「フラれる」歴史を刻みにでも来たのだろうか。
「・・・諦めるんじゃなかったのか?」
「うーん。そのはずだったんだけどね。」
「・・・嘘つき。」
「そうだね。もう嘘付かないって言ったのにね。」
「・・・人の話やっぱり聞いてなかったんだな。」
「聞いてたよ聞いてた。ちゃんと先輩の話聞いてたよ。」
「・・・それでいいって頷いたくせに。」
「うん。本当にそのはずだったんだよ。」
「言っただろ。オレはこれ以上、篝とはー・・・。」
「でもどうしても伝えたいことがあったから。だからもう一度、こうして来たの。」
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