「何が?」
「先輩がそうしたいなら、俺はいいよ。」
「何を?」
「だからー・・・。」
いつものニコニコとした笑顔で、
「友達からでいいから、俺と付き合って。」
その答えをあまりにも簡単にさせてきた。
「だって先輩は俺と友達でいたいんでしょ?俺だって先輩といたいし。ほらWIN−WIN。ほらちょうどいい。」
「・・・本当にそうか?騙されてる気がするんだが、それ。」
「始めからそうするべきだったかもね。変に三ヶ月とか言わないで。」
「いや。だって、それ・・・。」
「先輩はそうやって、すーぐ人を疑う。俺はずっと本気、すごく本気。あとは先輩が頷くだけなんだよ。こっちはそれでいいって言ってるんだから。」
何が正しくて何が誤っているのか分からないが、どう考えてもそれはWIN−WINではない。何もちょうど良くはない。 頭が良くないオレでもそれは分かる。 いい感じに言いくるめようとしてるようだが、でもそれも悪くない気がしてきた。
「はぁ・・・、分かったよ。友達からでいいなら、付き合ってやる。」
結局、最終的にため息混じりで頷く。
「ホント!?ホントにいいの!?嘘ついてない?」
「嘘にしていいなら嘘にする。」
「ううん、ううん。嘘にしないで。俺とまた付き合ってくれるんだね!?嬉しいよ、俺!」
「ただし!罰ゲームだったり脅されてたり、変なことしてたり気に食わないことしたら直ぐ破綻な。賭けてたりしてたら全額貰うからな。」
「またそれ言うの?少しは信じてよ。」
けどそれに救いを求めたわけではない。 なんて言うか、オレの負けで篝の一人勝ち。 この心を揺らして覆されたんだから、そこは素直に負けを認めよう。
「これからもよろしくね、タカシ先輩。」
こうして再びオレたち二人、
「そこは『たけし』って言わなくていいのか?」
「言わないよ。どうせ『破綻』って言われるだけなんだから。」
羽前 篝と斉藤 崇がお付き合いを始めましたとさ。
それからそのまま一緒に帰る二人。・・・っと言うより先週一緒に帰らなかったせいか、勝手に篝がついてきてオレの隣を歩く。
「ー・・・ってことでタカシ先輩。今度の日曜日、どっか遊びに行こ?」
「無理だって言っただろ。本当に人の話を聞いてない野郎だな。」
「えーッ!」
そんな景色を見るのも一週間ぶり。
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