「遊んでる時間あったら勉強してたいんだから無理。諦めろ。」
「じゃあ先輩と全然遊べないんだ・・・。」
「受験ナメんなよ?一年後、篝もこうなってるから。てかこうなってくれ。頼むからこうなってくれ。お願いだから。」
「受験生って大変なんだね。ちぇー、つまんないなー。」
あの三ヶ月が戻ってきたように感じて、少し離れただけだったのに懐かしくて心のどこかがホッとしていた。 変だよな、本当に。自分で終わらせたくせして。
「あーもー・・・。その次の日曜でいいなら、少しぐらい時間作ってやるからごねるなよ。」
「え!本当!?ホントにいいの!?」
「息抜きだ息抜き。そんなに長くは作れないけど言ってただろ?たまには息抜きしろって。」
「うんうん。うん!付き合う!絶対に付き合う!絶対に行く!」
「今後はちゃんと時間通りで来いよ。また夜明けから待ってたとか言ったらオレ帰るからな。」
「ヤバい・・・、どうしよう。俺、すっごく嬉しい。」
結局、終わらなかったこの関係に。 あの三ヶ月が終わらず、続きが続いていく。
「ありがとう先輩!大好き!」
「わッ!?」
すると篝がガバッとギューギュー抱きついてきて、自分の腕の中にオレを仕舞い込む。 みんな先に帰っちゃったから周りに人はいないけど、公共の場であることには変わりない。なのにやっぱりお構いなし。
「ばか・・・ッ。やめろ!こんな所でオレに抱きつくなってば!」
「や〜だ。俺流の愛情表現、スキンシップだってば。ダイレクトに伝えさせてよ。」
「過度な愛情表現は、ただのセクハラだー!」
「えっへへへへへ〜。」
しなかったこと、してなかったこと。 その続きが篝にとってすごく嬉しかったようで、気持ち悪いぐらいに緩んだ頬を赤らめてはにかんでいた。 そりゃあもうこっちが呆れちゃうぐらいに、ごっつ幸せそうな顔だった。
そして・・・、その最後で。
「あ!そうだ。俺、先輩に一つ言い忘れるとこだった。」
「ん?」
奴の口からまた、とんでもないことが語られる。
「俺、今まで先輩に手加減してたんだけど、今度は手加減なんてしないから。始めから真剣にちゃーんと口説き落として見せるから。そのつもりでよろしく。」
「へっ!?」
告げた男の名は羽前 篝(うぜん かがり)。高二。 告げられた男の名は斎藤 崇(さいとう たかし)。高三。 この物語は、ここでおしまい。 こうしてまた一つの物語が幕を閉じたのでした。
「俺を本気にさせた先輩が悪いんだから、覚悟していてね先輩。」
お し ま い
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