何かを企んでるってずっと疑われてても、いつだって笑顔で、終わらせたあの最後でさえいつもの顔だった。 あんなにアッサリとしていたが、それでも『楽しかった』と言ってくれた。 じゃあオレにとって、あの三ヶ月はどうだった? それを訊かれればオレは素直に、こう答える。 『楽しかった』と。 鬱陶しくて煩くて、早くこんな日終わってほしかったくせに、なのにその最後にはそう思わせてくれた。 だから、戻った日々が何もなく感じた。 だから、心の片隅に隠れていた気持ちを見つけることが出来た。
あの三ヶ月がなければよかったのに。
それは以前から少しだけ思っていたこと。 こんな関係じゃなくて、友達としていたかった。 あれが始まりじゃなくて、もっと別の始まりがよかった。 学年も違えばクラスの違う。でも同じ学校なんだから、会おうと思えばいつだって会いに行けるそんな距離にいたんだから。 顔合わせ以下でどんなに細くても、関わっていられたのかもしれない。 そういう思いがあったから、友達以上になることはなかったんだ。
(本当・・・。オレなんかにフラれて、ざまあみろ。)
「ん・・・、あれ?」
ふと目を覚ますと、教室の窓からオレンジ色の光が外から差し込んでおり放課後を迎えていた。 始まった一日が今日も終わろうとしている。
(うわ!もうこんな時間!?帰らないと!)
オレはいつの間にか自分の席で寝ていたようだ。 気がつくとクラスメイトの姿は、ほとんどいない。 誰か一人でも声かけてくれてばよかったのに、みんなに気づかれず放置されてしまった。 凸もなければ凹もなくどこにでもいそうな程度の野郎は、やっぱりそれが当たり前?それはちょっと切ないけど、いつも通りと言えばいつも通り。 急いで荷物をカバンにまとめて教室を出て、昇降口で靴に履き替えて真っ直ぐ帰ろうとした。 そして今日も何もなかった日が終わろうとしていたそんな時、
「ねえ。ちょっといい?」
「ん?」
正門のところでアイツに呼び止められて、なんでもなかった日中をとんでもない放課後に変えやがったんだ。
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