朝。 うるさい目覚まし時計に叩き起こされたオレ、斎藤 崇。
(・・・・・・ねむい。)
眠くて怠い体を無理矢理動かして朝ごはん食べ終わったら、歯を磨いて顔を洗って寝ぐせを直して制服に着替えて身支度を済ませる。 それからもう一度、鞄の中をチェック。 今日は当てられる日ではないが、どんな日でもうっかりな忘れ物はしたくないから、しっかりと確認。
「いってきまーす。」
そうして家を出て、今日も一日が始まる。 学校に行って授業を受けたりクラスの人たちと何気ない話をしたり、オレはオレの日常をいつも通りに過ごしていた。 だからそこには、何もないわけじゃない。何もないわけじゃないんだ。
あれから一週間が経ったが、篝とはあの日から連絡を一切取ってない。 オレの『わかった』が最後のメッセージとなっていた。 もしかしたら何か送れば、篝から何かしら返ってくるかもしれない。 けどどんな言葉が適切か分からなくて、そんなことしちゃいけない気がして、結局何も送れないまま。何も出来なくて、今はもうクラスの人と連絡をやり取るばかりでどんどん下に埋もれていく。
『先輩、先輩ー!』
聞こえてくる耳障りでうるさい空耳。 人の機嫌を逆撫でるニコニコとした顔が今にもヒョイッと出てきそうなのに、奴の姿は現れることはなかった。
同い年でクラスも同じなら、顔合わせ程度に細く関わっていたかもしれない。 けどクラスも違い学年も違えば、さらに交わることなんてない。 普通にしてても会わないのがほとんど。 だけど稀に偶然が廊下ですれ違わせる時があるが、あってもお互い通り過ぎるだけで何も起きない。それを今までは気づいてなかったが、それからは気がつくようになった。 友達と一緒にいて、笑っていた篝を見れてちょっとホッとしたから。
篝にとって、あの三ヶ月はどうだったのだろう?
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